静雄受け小説
□その眼で見て、
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―・・・あいつと出会ったことは、偶然で。
―・・・君と出会ったことは、必然だ。
***
「手前ッ・・・なんのつもりだ・・・」
薄暗い部屋の中。静雄は椅子に縛り付けられていた。
「なんのつもりだって?嗤わせないでよ、そんなのわかってるでしょ?嫌がらせだよ、嫌がらせ!」
ふざけた調子で挑発する青年―折原臨也は、拘束される静雄の前で、見下していた。
―やっと捕まえた。
―こんなにいい機会はまったくないな。
―でも、こいつ、なんでこんな楽に捕まえられたんだ?
数時間前、臨也は静雄の帰宅を待ち伏せ、家に入る瞬間に薬をかがせて眠らせ、ここまで連れてきたのだ。
こんなに簡単でいいのか、臨也は疑問が頭に渦巻いていたが、気にしないことにした。
―まぁいいよね。捕まえたんだし。
「何考えてやがる・・・とっとと教えろ!」
「恐い恐い!やめてよ、怒鳴られるのは好きじゃないんだw」
両手をあげ、降参とでも言うように馬鹿にする。
「ただの嫌がらせだってー、まぁ、俺にとってはちょっと私情が入ってるけどね。嫌がらせのためだけじゃなくて、俺自身の幸福のためでもある。」
「・・・・?しらねぇよそんなこと。とっととこの縄外せ。」
臨也の事なんかしらねえ、とでもいうかのように、静雄は苛立ちを押さえながらも話しかける。
そんな静雄に、臨也は近づいていく。
そして、よく聞こえるようにと言わんばかりに、耳元で語る。
『いつまでそんな余裕もってられるかなぁ?』
「は?」
いつもと違う雰囲気に気付いた時には、もう遅かった―・・・。