臨也受け小説
□君が好きなんだ(シズイザ来神時代
1ページ/9ページ
「おはよ―・・・!?」
朝、教室に入ってみると、シズちゃんが目に涙を溜めながら机を持ち上げていた。
「ど、どうしたのシズちゃんッ?」
するとシズちゃんは、ものすごい形相でこちらを向いた。どうやら怒っているようだった。
「い、いざぁやぁ・・・手前、また昨日知らねえ男と一緒に居ただろ・・・」
「はぁ?」
なんだ、そんなことかよ・・・
「なんか静雄はねぇ、臨也がその男とヤってたんだと思って、嫉妬してるんだよw」
新羅が笑いながら言った。
「ねぇ、シズちゃん。俺たち別に仲良くないし、ましてや恋人ではないんだよ?そんなこと関係ないだろ?」
俺は別にその男とヤったわけではなかったが、シズちゃんの反応を見ようと、わざとしてたフリをした。
「ッ!・・・テメエ・・・まさか本当にやったのか?」
「あははッ・・・どうだろうねぇ♪」
「おい臨也、やめとけって。怪我するぞ・・・」
「あ、ドタチン心配してくれてありがとー♥」
そういって俺がドタチンに抱きつくと、シズちゃんはドタチンをにらみつけた。
「ちょッ、静雄ッ!俺別にそういうつもりじゃ、おちつけってッ!」
「あはは、静雄嫉妬深いねぇ・・・」
俺はこの生活が大好きだ。
こうやってみんなでバカみたいな話をしていられるのも、人生の中でほんの少しだけどね・・・。
(−家、・・・にいるときよりも、全然いい)
俺の家は、今父がいない。
だから代わりに、父の兄が家に居候している。
最初の頃は、良かった。
とても優しくて、かといってお節介を焼くわけでもなく、俺にとってはすごく素晴らしい養父だった。
でも、変わったから。
父の兄は、ある日突然俺を殴った。本当に突然だ。ついさっきまでは、仲良く妹達と食卓を囲んでいたのに・・・。
俺を殴って、倒れたところを馬乗りになって、何度も何度も殴った。
妹達は次の日、朝早く養父が起きる前に俺の寝床にもぐりこんできた。
「イザ兄・・・大丈夫?」
「兄・・・体・・・痣・・・」
めずらしく双子の妹達が、涙目になって心配してきた。
(−みていたのか・・・)
「・・・大丈夫だよ・・・心配するな。」
めずらしく俺も、泣きそうになった。殴られているときも、痛かったけど、泣くことはなかった。でも、妹達がこんなに俺を心配してくれていることが、温かくて・・・。
本当は、大丈夫なんかじゃなかった。
痛かった。怖かった。顔に痣も残った。
でも、こんなことでは泣いていられない。妹達を守るために、俺は強くある。
裏の力を使えば、あんな奴はつぶせるかもしれない。でも、逆上して妹達にまで手をあげたら・・・。そう思うと、できなかった。
今のところ、暴力を振るうのは俺だけだった。妹達には、いつもどおりやさしくせっしていた。
(まぁ、俺だけなら・・・大丈夫)
「臨也?どうしたの?考え込んじゃって・・・。」
「え?あ、新羅・・・うん。なんでもない」
「なんだ、男のことでも考えてんのかテメエ・・・」
「違うってばッ!!(笑」
「・・・ならいいがな・・・」
―そして、一日が過ぎた。
今日も家に、帰らなきゃいけないのか・・・。