novel

□†岐路に立つ日
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「も…もしもし?」

裏返りそうになる声を必死に抑えて返事をする。既に頭の中は今まで考えていたことは全て消え、真っ白だった

「うん、どうした?」

屈託の無い彼の声に鼓動は益々早くなる

“あぁ…何を言えばいいんだっけ?”

誰もいない公園を助けを求めるように見回す。当然そこには助けになるモノなど無く、落ち着こうと私はかたく目を閉じた

「何、してるのかなって思って。明日卒業式でしょ?ガラにも無く感傷に浸ってるのかな〜とか」

気持ちとは裏腹に軽口を叩く自分に苦笑いしてしまう。こんな時でさえ自分はしおらしくなれないのか

「バーカ、こう見えて俺は繊細なんだよ」

私の軽口に彼…康平も軽口で返す。こんな風に笑ってふざけ合えるのも明日が最後になるのだ

楽しかった日々を思うと終わりが来ることが恐くて仕方なかった。ずっと続けばいい、そんな馬鹿げたことさえ本気で考えてしまう

「でもさ、楽しかったよね。ホント…」

あっという間に過ぎてしまった1年という時間を思い出しながら、私は小さく呟いた


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