novel
□†例えばいつもの1日に
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眉をしかめて辺りを見回す。しかしそこにあるのは葉を舞い散らせる木々ばかりで人の姿は無い
「どうしよう…」
深く考えることもなく、外のベンチで眠る私を見かねて誰かが掛けてくれたのだろうと推測出来た。サイズからして男の人のものだと判断出来る。羽織ると丁度私の膝まで暖かく覆ってくれるそのジャケットを、私はもう一度掛け直した
「御好意に甘えさせていただきます」
いないことは分かっているけれど、持ち主の誰かに向かって一言告げた。なんだか今は物凄く眠いから、持ち主が現れるまで少し寝直そう。きっと少し経てば取りに戻ってくるだろう。そう考えて私はまた即席枕に睡魔に支配されかけている頭を預けた
落ち葉が風に舞い、静かな音をたてる。それに混じって誰かの小さな笑い声が聞こえた気がしたけれど、睡魔につかまった私の思考はそこでストップしてしまった