novel
□†例えばいつもの1日に
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弾む息を落ち着かせ、10分以上待って急行電車に乗る
身を強ばらせる程に寒い外とは正反対に車内は暖められた空気が淀んでいた。暖かさを心地よく思うよりも不快に感じてしまい、乗車して数秒にして降りたくなってしまった
電車を乗り継ぎ大学に着いた頃には2限開始から20分程過ぎていた
「あ〜ぁ…」
途中入室するのも気が引けて校舎の前のベンチに腰掛ける。休み時間には喫煙スペースになっているこのベンチも、流石に今の時間は誰もいないようで少しくつろぐ姿勢をとった
荷物の多い私の大きいバッグの上に首に巻いていたマフラーを畳んでのせ即席の枕のようにして、そこに頭を預ける
吹く風は冷たく厚く広がった雲も依然として晴れないけれど、ようやく一息つけた気がして私は目を閉じた
風に落ち葉が舞う
その軽やかな音を聞いている内にいつの間にかうたた寝をしてしまった
寒さに震え目を覚ますと見慣れないジャケットが体にかけられていた
そこに微かに残る香り…偶然にも同じ香水を使っているらしく爽やかな香りが鼻をくすぐった