novel

□†夕暮れ道
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右に折れてまた右、真っ直ぐに行って左…と進んでいくと見慣れた小さな公園が現れた

「うわっ…懐かし〜」

中学の時はよくここで学校をサボってひなたぼっこをしていた。あの頃よりも寂れたように見えるのは今が夜だからだろうか?
随分と小さく感じるブランコに片足を乗せ不安定な態勢のまま漕ぎ出す。キィキィと錆びた音を響かせて思い切り漕ぎ、目一杯まで振られたところで深い藍の空へと飛び出した

「ガシャッ…ガシャ…」

投げ出されたブランコは抗議の声を上げているが飛び出した俺はなんとも気持ち良く、今にも笑い出したい気分で着地を決めた

「やっばい…気持ち良すぎ!!」

白い息を盛大に空へ吐き出すと、今日までの嫌な気持ちまでもが空へ吸い込まれていくようだった

「気持ちいいなぁ…」

改めて呟く
空がこんなに綺麗なのも月がこんなに青白いのも空気がこんなに冴えているのも、全然気付かなかった。世界はこんなにも鮮やかな色をしていたんだ

冷たい風が頬や首を撫でて通り過ぎる。何も覆うものの無い手を擦り合わせると、左手がいやに寒く感じられた

「…帰るか」

両手を無造作にポケットに突っ込んで見慣れた公園を出て、家へと繋がる道を進んだ


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