テキスト2

□秋桜畑で二人
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辺り一面に広がるチョコレートコスモス。
風に揺れて甘い香りを放つ。

惑わされるんだ。この甘い香りに。

風が吹くたび、思考は渦を巻いて溶けていく。

俺は繋いでいたラビの手を引いた。

振り向いたお前の唇が言葉を紡ぐけど、溶けた俺の頭に音など響かない。

きっと『どうしたの?』とか、発している言葉はそんなところだろう。

ラビの艶のある唇が動く度に俺は欲情する。

不意にその唇が『ユウ』と俺の名前を呼んだ。

『もしかして、したくなっちゃった?』

『誘ってんのかよ?』

俺は、腰に抱き付いてきたラビの唇に、キスを一つ落とした。

ラビは満足そうに笑って言う。

『今すぐ愛して』

すげぇ、口説き文句。

その言葉に、とっくに溶けた俺の頭では手加減など出来るはずもなく、思うがままにラビを掻き抱いた。

聞こえる、吐息が甘く甘く俺を誘う。


あぁ、視界の端で、チョコレートコスモスが揺れている。



end

 

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