テキスト1
□ジャンクイル
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「ユウここ!」
しばらく歩いた後、着いた場所は林の中にぽっかり開いた広場だった。
そこは子供の頃、よく二人で遊んだ場所。
「懐かしいでしょ?覚えてる?」
そう聞かれて、
「もちろん、覚えてる」
と答えれば、ラビは嬉しそうに笑った。
「でね、ユウに見せたいものがあるんさ」
俺が覚えていた事が余程嬉しかったのか、もうちょっと奥なんだけど。と、ラビは弾んだ声で俺の手を引いた。
その勢いで転びそうになったけれど、子供のように急かす姿に悪い気はしなかった。
「ユウ見て!」
目的の場所は朝日を浴び、キラキラ輝く氷の粒で満たされていた。
「きれいでしょ?これを見せたかったんさ」
そう言われて、俺は珍しくも素直に頷いた。
ただ、ただ綺麗だったから。
強いオレンジ色の朝日が、振り返ったラビの髪を透明にした。
そして周りを囲むダイヤモンドダスト。