猫太郎の作文…2

□桃の病
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兄さんが風邪を引いてしまった。

しかも、今回の風邪はものすごくタチが悪いもののようで…ここ3日程熱が引かない状況が続いていたりする。


(すぐ治ると思ったのにな…)

ぼんやりとそんなことを思いながら、キッチンにある椅子に座ったアルフォンスはきれいに剥かれた桃の一切れを口に含む。
淡く色付いて、見るからに甘そうなその果実は本日アルフォンスが仕事帰りに兄・エドワードのために買って来たものだった。
しかし、床に伏している兄はすっかり病にやられているらしく…食べ易いはずのこの瑞々しい果実すら喉を通る事は難しいらしい。

(…兄さん…大丈夫かなぁ)

少し果汁が付いた指先をぺろりと舐めて、アルフォンスは二階の自室で眠っているはずの兄を思い天井を見上げた。

いつもいつも絶対無敵!と言った雰囲気をかもし出している人だから、こんな時はどうしても不安になってしまう。

本当に風邪なのか…
変な病気ではないのか…
ちゃんと治るのか…

我ながら心配性が過ぎているとは思うのだが、人と比べて結構複雑な人生を歩んで来たのだからこう云った所はまあ仕方ないのだろう。

「様子…見に行こうかな」

ほんの数十分前に見に行ったばかりだけれど、やっぱり心配だし気になるのだからこれまた仕方がない。

そう自分に言い訳をして、アルフォンスは腰を上げた。


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