猫太郎の作文…2

□堕天の聖夜
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『子供は天使のようだ』―…と誰かが言っていた気がする。
無垢で純粋な…神からの贈り物。
全ての存在に幸せな笑顔をもたらしてくれる――…と。

では、その無垢で純粋な願いから咎人へと堕ちた幼いオレたちは一体何だろう?
神の教えに背いた罰として、
手足を奪い取られたオレは何だ。
天から堕とされた者だとでも言うのか?
罪にまみれた…"堕天使"だとでも?


『堕天の聖夜』


体から体温を奪うような…冷たい風で目が覚めた。
まだ寝ぼけた眼で辺りを見渡すと、すっかり火の尽きた暖炉に気が付いて微かに白い息を吐く。
どうやらいつの間にか消えてしまったらしい。
陽はすっかり落ちていて今の時間はよくわからないが、恐らくはまだ夜は更けていないだろう。
…アルフォンスが帰って来ていない。

『今年ね僕、サンタをやるんだよ』

嬉しそうにそんな事を言っていたのはいつ頃からだったろう。
このイーストシティにある孤児院でクリスマスパーティーをするらしい。
そこでサンタの役を任されたのが嬉しくてたまらないと言っていた。

軍部の好感度集め…もといあの胸糞悪い大佐の手伝いに駆り出されて何が楽しいのか。
オレには欠片も理解出来ない。

「…阿呆くせぇ」

ちらちらと降り始め来た雪を窓際で見上げながらぼそりと呟いた。

鎧姿のサンタを子ども達は喜んでくれるだろうか?
泣かれたりしないだろうか?

出掛ける際に、嬉しそうにしながらもそう言って不安がるアルフォンスにオレは何も答えなかった。


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