空の果てに咲く

□証言
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少年 S.A.の証言
S.A.くん(14)との会話の一部
名前の部分はイニシャルに修正済み


Mさんに訊かれて、急に思い出した
でも、ハッキリとは浮かばなかったから、「そんなやつも居たね」って返したんだ
Mさんは泣きそうな顔をして、「そっか、ありがと」って言った
Mさんと話す事なんて滅多に無いから、俺はその時すげぇ浮かれてた
で、後になって、また思い出したんだ
俺、Yが嫌いだったって



俺が一番仲が良かったのは、多分Yだった
だから嫌いってのはちょっと違うかも
Yの事は好きだったけど、嫌いなとこの印象が強すぎたんだと思う
俺とYはさ、似たもの同士だったんだよな。誰と何しててもつまんない。そんな顔してさ
でも何だって俺より上だった。テストの点も良かったしバスケも上手かった
あ、だからって嫌いだった訳じゃないよ
寧ろYのそう云うとこ羨ましくって憧れてた
でもさ、YはMさんと仲良かったじゃん。だから嫌いだったんだ



Yはさ、Mさんがクラスのやつらに色々されてたの、知ってたと思うんだ
でも、Yは何もしなかった
Yの所為でMさんは酷い事されてんのに、止めさせたり相談にのったりもしなかった
それなのに、YもMさんも揃って「あたし達親友だよ」って言うんだぜ
もし俺がYだったら助けるよ。好きなら当たり前じゃね?
ずっと知らんぷりだよ。酷いじゃん。信じらんないね
それがYの嫌いだったとこかな



え? あぁ…うん。Yの事思い出した時、分かったよ。何となくだけど
Yはもう居ないんだよな
そりゃ寂しいし哀しいよ。Yは親友にもライバルにも一番近かったんだし
……なぁ、俺もその内そうなんの?
今更はぐらかさなくていいよ。言ったろ、「分かった」って




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