空の果てに咲く

□記録
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少女 Y.A.の記録
Y.A.さん(14)の日記の一部
■は黒く塗り潰されて読めない部分


いつ振りだろうか
これの前が約二ヶ月前の日付になっている
つまり二ヶ月も、あたしは居なかったのだ
■は無事だろうか
…■の名前が書けない
あの子の名前が分からない
もう限界なんだ
でも、まだ消えられない
■に伝えたい事がある
…■の名前も書けない
もう駄目なんだ
もう、



今度は一週間だった
意識の接続に波があると云う事だろうけど、そんなのが分かっても消える事には代わりないからあまり関係はない
■に会えなくなってどれぐらいだろう
相変わらず■の名前が書けない



次がいつになるか分からないから、居られる内に■の家に電話をかけた
■は居なかったけど、それで良かった
言いたかった事は伝えられた
名前を尋ねられて、一瞬、出てこなかった
確認の為に、此処にも書いてみる
あたしは、■■■■
やっぱり書けない
■■は、…■■の名前も書けない。もう驚けもしない
■■なら、あたしが誰なのか分かるだろうか
鏡に映った自分に向かって「お前は誰だ」と言い続けると、自我が崩壊すると聞いた事がある
それはこんな感じなのだろうか
あたしは誰?
あたしは本当に、あたしなの?



嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない消えたくない
やっと思い出したのに
あたしの一番大切な人を、思い出せたのに
もう忘れたくない
忘れたくないよ
あたしの大好きな、あ■




最後の「あ」の次に、文字を書こうとした形跡がある
何と書こうとしたのかは不明


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