Eine kleine machtmusik
□パンドラの箱
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「何してんの遊城」
「…あんたが変なコト言うからよ」
はぁ…と息を吐きながら遊城は体勢を整える
「で?」
「ん?」
「ん、じゃないわよ
な・ん・で、あたしがずるいの」
「ぁあ」
ポン と思い出した様に暁は手を打ち言った
「だって遊城
浅野くんと仲良いじゃん」
「は〜あ〜ぁ〜?」
またも予想外の返答に遊城は気の抜けた言葉を発した
暁の言う[浅野くん]とは、同クラスの[浅野 将/アサノ ショウ]の事だ
彼は男子バスケット部のエースで、スポーツ万能、容姿端麗が評判で異性から人気が高い
暁は、そんな将を以前から気に掛けていた
「ずるい〜仲良しずるい〜」
「あのねぇ…あたしと将は同じ部活だからよく話すだけで」
「ずるい
下の名前で呼んでずるい〜
あたしの気持ちを知りながら…憎いわ遊城!」
遊城の言葉を遮って巫山戯半分ながらも暁は更に言う
「じゃ、あんたも将って呼びゃーいいでしょ」
「だって浅野くんとそんな親密な関係じゃないんだもーん」
「何[親密な関係]ってぇ…」
「いつも一緒じゃーん」
ぷー と頬を膨らませながら暁は言った
「あんたと一緒に居る時間の方が長い」
半ば呆れながら遊城は暁に言う
「いーの!
兎に角遊城はずるいのー!」
「あ〜はいはいそうですね〜」
駄々を捏ねる子供の様な暁を遊城は軽くあしらった
そしてふと時計を見、遊城は立ち上がる
「さて、そろそろ部活行かなくちゃ」
「えー!!?」
「何よ?」
「酷い、あたしよりバスケなの?
あたしを捨てるの遊城」
暁が泣き真似をしながら言うと、遊城はヒラヒラと手を振った
「そのとーり
じゃ、将と仲良しでずるい遊城さんは部活に行くからまた明日ねー」
遊城は暁を一人残し教室を出ていった
笑って言った遊城とは裏腹に、暁は暗い顔をしてポツリと呟く
「‥‥そーゆーの…シャレんなんないんだよ…
遊城のばーか…」