Eine kleine machtmusik

□パンドラの箱
2ページ/14ページ

「何してんの遊城」
「…あんたが変なコト言うからよ」

はぁ…と息を吐きながら遊城は体勢を整える

「で?」
「ん?」
「ん、じゃないわよ
 な・ん・で、あたしがずるいの」
「ぁあ」

ポン と思い出した様に暁は手を打ち言った

「だって遊城
 浅野くんと仲良いじゃん」
「は〜あ〜ぁ〜?」

またも予想外の返答に遊城は気の抜けた言葉を発した

暁の言う[浅野くん]とは、同クラスの[浅野 将/アサノ ショウ]の事だ
彼は男子バスケット部のエースで、スポーツ万能、容姿端麗が評判で異性から人気が高い
暁は、そんな将を以前から気に掛けていた

「ずるい〜仲良しずるい〜」
「あのねぇ…あたしと将は同じ部活だからよく話すだけで」
「ずるい
 下の名前で呼んでずるい〜
 あたしの気持ちを知りながら…憎いわ遊城!」

遊城の言葉を遮って巫山戯半分ながらも暁は更に言う

「じゃ、あんたも将って呼びゃーいいでしょ」
「だって浅野くんとそんな親密な関係じゃないんだもーん」

「何[親密な関係]ってぇ…」
「いつも一緒じゃーん」

ぷー と頬を膨らませながら暁は言った

「あんたと一緒に居る時間の方が長い」

半ば呆れながら遊城は暁に言う

「いーの!
 兎に角遊城はずるいのー!」
「あ〜はいはいそうですね〜」

駄々を捏ねる子供の様な暁を遊城は軽くあしらった
そしてふと時計を見、遊城は立ち上がる

「さて、そろそろ部活行かなくちゃ」
「えー!!?」
「何よ?」
「酷い、あたしよりバスケなの?
 あたしを捨てるの遊城」

暁が泣き真似をしながら言うと、遊城はヒラヒラと手を振った

「そのとーり
 じゃ、将と仲良しでずるい遊城さんは部活に行くからまた明日ねー」

遊城は暁を一人残し教室を出ていった
笑って言った遊城とは裏腹に、暁は暗い顔をしてポツリと呟く

「‥‥そーゆーの…シャレんなんないんだよ…
 遊城のばーか…」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ