赤い幻影

□壱
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私は何故、こんな所に居るのだろう

と、云うか

此処は、何処だ?




Chance OR Necessary





「あぁ、気が付いたみたいだね」

突如思考を遮り意識の中に侵入して来た声に、彼女はぼんやりと天井を見つめていた眼を見開いた
慌てて跳ね起きるが、ぐらりと視界が歪み、込み上げてきた気持ちの悪さに、再び頭を白い枕に埋める事となった

「駄目だよ、急に動いちゃ」

先程聞こえた声が、また耳に届いた
若そうな声、男の物だ
負担の掛からぬ様にゆっくりと首を動かす
逆行でよくは見えないが、椅子に座る髪の長い者のシルエットが眼に映った
揺れる白いカーテン、その向こうで青によく映える雲が流れている
風がゆらゆらと空気を揺らす度に、薬品独特の香が鼻を刺激した

「ごめんね、薬の匂い気になるかな
 …あぁ、此処、僕の病院だから
 君が居るのはその二階の部屋」

──病院か…道理で薬品臭い訳だ
男が言った言葉に、彼女は頭の中でそう呟いた
しかし、言葉の何処かで何か引っ掛かりが生じた
──"僕の"病院

「僕は医者なんだ」

彼女の思考を読んだかの様に男は言う
…この男、何者だ?
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