Eine kleine machtmusik

□パンドラの箱
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「……はぁ…」

遊城が部活に行ってしまった為、暁は仕方無く一人で家路を辿っていた

「…あれ?」

ふと、暁は足を止めた

「こんなトコに…お店なんてあったっけ?
 ……ん〜…ま、いっか
 暇だし、入っちゃお」


──カランカラン…

扉を開けるとベルの音が店内に響いたが、すぐに元の静寂を取り戻した
暁は店の中へと足を進める

そして…


「あ…」

暁は一つの箱に小さな小さな木箱に目を奪われた
他に置いてある品々とは明らかに違う、その木箱に
瞬間…何故か、背筋がゾク…と凍り付く様な感覚に襲われる
それでも暁は木箱に手を伸ばす
否…誰かに操られるかの様に、手が伸びてしまった
そして、指先が触れる寸前で…

「…いらっしゃい……」
「ひぃやあぁぁぁあぁんっ」

突然に声を掛けられ、悲鳴を上げた
バッ と振り向くと其処には老婆が一人立っていた

「あぁ…すまないねぇ
 驚かせるつもりは無かったんだが…」
「あ…いえ、平気です
 こちらこそすみません…叫んだりして…
 えっと、お店の方…ですか?」
「そうだよ…
 お嬢さん、それが気に入ったのかい?」

言いながら老婆は箱を指差す
小さな小さな、その木箱を

「はい、なんか…惹かれるって言うか…」
「そうかい…
 なら、それはお嬢さんにあげよう」
「え!?でも…」
「いいんだ…その箱がお嬢さんを選んだんだ
 持っていっておくれ」

老婆の言葉には引っ掛かるものがあったが、

「じゃあ…お言葉に甘えて…」

暁は木箱を受け取る事にした

「あ…もう暗いので、帰ります」

暁が帰ろうとすると

「……お嬢さん…」

老婆は呼び止めた

「その木箱…」
「?
 何ですか?」
「決して開けてはいけないよ」
「どうして?」

老婆の言葉に抱いた当然の疑問を暁は口にする

「それはね…
 パンドラの箱だから…
 中には災いが詰まっているから…」

今一理解し難かったが

「判りました、絶対に開けません」

暁は頷き、店を後にした
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