短編的資料集
□仮面道化
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真っ白い霧に覆われた空間の中に僕はいた。
僕は出口を探すように手探りで霧の中をすすんだ。
霧の中を進むにつれ、まるで数時間動きまわったような感覚をおぼえてきた。
いっこうに出口が見つからず途方にくれていると、目の前にぼんやりとだが人影が見えた。
僕は、その人影に向かって走っていくがまったく近づくことができない。
人は何かをつたえたがってるように見えるが、いったい何を伝えたいのかわからない。
気がつくと僕の身体は霧の中に溶けるように消えていってる。
必死になってもがいてると、微かに声が聞こえた。
「は……るよ…はじま…よ……楽し…マスカレードが……最後……踊り………が…願い……る」
僕の身体が消えてしまうと同時に、目がさめた。
最後の言葉はよく聞こえなかったが夢の内容ははっきり覚えている。
その夢に出てきた人影…フードを被った少年のようだった。
そして、はっきりと聞こえたマスカレードという言葉…。
時計を見てみると針が午前9時をさしていた。
学校に遅刻したと思い少し慌ててしまったが、今日が日曜だったことを思い出し、着かけた制服を脱ぎ、私服に着替えた。