短編的資料集
□仮面道化
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事故から2週間後、病院のベッドの上で僕は目を覚ました。
僕の身体は、全身包帯で巻かれ、ロクに動くことが出来なかった。
左目は、事故のとき負傷したらしく包帯で覆われていた。
それから数ヶ月、リハビリを続け、身体もだいぶ動かせるようになり、左目の包帯も取れることになった。
異変に気づいたのはこの時だった。
視力検査のため右目を隠し、視界が左目だけになった時…視力検査担当の医師が、不気味な仮面を被っていた。
「先生…なんでお面つけてるの?」
「…?何を言ってるんだい?お面なんてついてないじゃないか」
自分の仮面を触りながら医師は言った。
「ついてるよ?白くて笑ったようなお面…」
「いい加減にしないか、これは先生の素顔なんだよ?」
そう言うと、医師の被ってた仮面が怒ったような表情になり色も白から赤に変わった。
「ひ…っ!!」
当時の僕はその変化に恐怖を感じ泣き出してしまった。
それからだった…僕が人の仮面を見ることが出来るようになったのは。