短編的資料集

□輪廻〜黒の章〜
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「こ…こんばんは…///」

その虎の少年は少し恥ずかしそうに挨拶をしてきたのだ。

「こん…ばんは…」

それにつられてぎこちなくだが挨拶を返す。

「あのさ…良かったらこっちで話さない?」

その少年は手招きしながら彼を呼んだ。
普段なら逃げるであろうはずなのに不思議なことに、何故かこの時は少年の誘いを断ろうと思えなかった。

しかし、警戒だけは解かずゆっくりと少年に近づく。
少年の隣までくると少し距離を開け隣に座った。

良く見ると少年の前髪は赤く染まっていた。彼にはそれが自分の持つ紅い目と似ているが異なった輝きを放っているように思えた。

「あ、自己紹介がまだだったね…僕はエィス♪君の名前は?」

そう訪ねられた瞬間彼は困った。
名前なんて無い…自分が生み出された研究所では番号で呼ばれていたがそんなのが自分の名前だなんて考えるだけで嫌悪感がわいてくる。

「…名前なんて…無い…」

彼は少年に冷たく言い放った。
少年は不思議そうな顔をして何かを考えはじめた。
しばらく考えたあと再び口を開いた。

エィス「じゃあ、僕が名前をつけてもいいかな?」
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