短編的資料集

□輪廻〜黒の章〜
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狼の少年は洞窟を出て、その旋律が聴こえる方へ歩いて行ってみる。

「…再び聞きたい…キミの歌を…だけど歌い手はもういない…
だから…キミが歌ったこの歌を…次の時間に伝えたい…

僕は僕の歌を歌い続ける…キミへ…

僕の歌…キミの灯火が消えても僕は歌う…今を輝くために…」

初めて聴く心地よい旋律に惹かれ歩いていると鬱蒼と茂る木々の間を抜け開けた場所にたどり着いた。

「…でも伝えられない…伝わらない…この想い…この願い…この歌…」

そこには白い虎の少年が崖に足を投げ出し歌いながら座っていた。

「…僕の輝きが消える前に…歌い続ける…

僕が僕でいる限り…」

その旋律が終わると同時にその虎の少年は狼の少年の方を振り向いた。

しまった!

狼の少年は思った。自分を追っている相手かもしれないのに無防備な状態で姿を表してしまったから。

しかし、虎の少年の口から出たのは意外な言葉だった。
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