短編的資料集
□SNOW MEMORY
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「…ジュルド…」
地面から樹の根が飛び出しアイスドッグ達を凪払ってく。
怖じ気づいたアイスドッグは文字通り尻尾を丸めて逃げ出した。
「………」
白い狐はタヌキと同じく少年だった。
お礼を言おうと樹の隙間から何とか脱出したタヌキの少年が狐の少年に近づく。
「あのぅ…」
「………」
狐の少年は無言でタヌキの少年の方を見る。
「ありがとぉ、おかげで助かったよぉ…」
助かって気が抜けたのか締まりのない笑顔を見せるタヌキの少年。
「えっと…君は?」
「…僕?」
狐の少年は、やっと口を開いた。
「うん、君の名前は?」
「僕の…名前…ぅう…」
突然狐の少年が頭を押さえ唸り出す。
「狽ヌうしたの!?大丈夫!?」
「僕は…ハァ…ハァ…僕は…」
頭を押さえその場に座り込む狐の少年の体をタヌキの少年が支える。
「ハァ…ハァ…僕は…
僕は…誰?」