短編的資料集
□SNOW MEMORY
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「はぁはぁ…」
岩山に挟まれた狭い雪原を一人のタヌキ獣人の少年が走っていく。
防寒着を重ね着してるため非常に走りにくそうだ。
そのあとを追って数匹の魔物の群れが走る。
魔物の種類はアイスドッグ。雪原地帯に多く生息する水色の犬型の魔物だ。普段から群れで生活しているこの魔物は、狩りをするにも集団で行動する。
おそらく、今回の獲物はタヌキの少年だろう。
「クソッ…雷虎降臨…ボルティック!」
少年は振り向きざまに雷の術を繰り出した。
しかし、有効範囲が狭い術だったため2、3匹倒したがまだ多くのアイスドッグが追いかけてくる。
「うぅ…キリがないι」
また走り出そうと体を翻すと目の前にアイスドッグが5匹ほどいた。
「…ヤバいよぉι」
『がぁぁぁぁあ!!』
アイスドッグが一斉に飛びかかってきた。
もうだめだと思ったそのとき…
「ダメだよ…君たち…」
地面から樹が生えタヌキの少年の周りにバリケードを作る。
「狽ネ!?」
樹の隙間から見えたその姿は一瞬服だけが宙に浮いているのかと見間違えるくらい雪と同化するほど白い毛皮の狐だった。
『グルルル…』
狩りを邪魔されたアイスドッグ達は今度はその白い狐に牙を向けた。
「矧な…」
タヌキの少年が叫ぼうとした時…