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□Merry Christmas! -night-
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いつもそうなのだ。
噛みつかれた瞬間は酷く恐ろしい。
鋭さを増した牙がぶつりと肉に食い込む痛みは、いつまでたっても決して好きにはなれないだろう。ともすれば殺されるんじゃないかという錯覚に陥るのだ。
なのに、どうしてだろうか…。

「ぃ、ヤ…っ…」

ずるり、と体液を吸い出される頃にはそれが性的な快楽にもにた感覚に変わってしまうのだから。
びくびくと体が痙攣し涙が溢れてくる。
麻薬など使ったことは無かったが、コレはそれよりも遥かに恐ろしく甘美だと思う。
もっと、もっとこの快楽を味わわせて欲しいと縋り付きたくなるような…。

「ふ、…っ」

こくりと琉稀の喉が鳴る。
永遠に続く甘い夢のような瞬間は、終わってしまえば急激な疲労感を伴う。
まるで一瞬にして性行為を終えたような感覚だった。
麻痺したように体が重い。

琉稀は傷付けた場所を労るように舐めると、譜迩の唇に触れるだけの口づけを落とす。
恍惚の表情で宙を見詰める譜迩は心此処に在らずといった様子だった。
琉稀はそんな譜迩を抱き抱え、部屋を移る。
崩れ落ちるように倒れ込んだのは、冷たいベッドの上。
一つずつシャツのボタンが外されていくのを、譜迩はまるで自分のされていることだとは思っていないかのように見つめていた。
琉稀の冷たい手のひらが、腰から体の輪郭をなぞるように撫でる。

「譜迩…」

名前を呼ばれ、未だ虚ろな瞳が琉稀の紅い瞳を捕らえた。
次第に意識が戻ってくる。
その頃になって、譜迩は漸く自分が何も身に纏っていないことに気付いた。

「あ、っ…まって…」

ぺろりと舌先で胸を舐める琉稀の肩を押し戻しながら、弱々しい声で譜迩が言う。

今やはっきりと自分の置かれている状況が理解できる譜迩にとって、このまま行為に及ぶのは気が引ける。
しかし琉稀には譜迩の言葉の続きを待っている気はないのか、手が止まることは無かった。

「まだ…っあ、…シャワー、浴びて…ない…っ」

多少は予想していた事で、琉稀と会う前には既に入浴を済ませてあったのだが、触れられる前にはもう一度身を清めたいと思うのは当然のこと。

「いいよ、そんなの」

言いながら、琉稀は譜迩の内股を撫で上げる。
反射的に脚を閉じようとしたが、間に琉稀の腰があるせいで全く意味がない。むしろ強請っているような動きになってしまった事を、譜迩は後悔した。

「もっと脚開いて…」
「ダ、ダメッ」

やんわりとした動作で促されても、譜迩は恥ずかしさの余りふるふると首を振るだけ。
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