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□悪魔でプリースト!!
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その[好き]って、一体どういう意味なんだ。
会う度に思わせぶりな台詞を吐くくせに、こんなに簡単にその言葉を口にするなんてことは、本当にただ単に俺が好きなだけなんだろうか。
人に好かれるのは人間誰にとっても嬉しいことだと思う。
俺は楓さんが凄く好きだというわけじゃないんだけど、あんな台詞をサラッと言う癖にこの[好き]って台詞は余りにも軽いと思うのは俺だけだろうか。

「な〜に、突然暗い顔しちゃってww」

にやにやと笑いながら、楓さんはややうつむき加減だった俺のほっぺたをつまんでくる。

「別に…」

なんとなく目を合わせたくなくて、俺はその手を振り払った。

「どーした?らしくないぜ?」

本気で心配したような声で、楓さんはそう聞いてくる。
話の流れを読めば俺の態度でなんとなく心中の察しはついてしまうはずだ。
それも、俺にとっては検討違いの推測で。
そう、これじゃまるで俺が楓さんの事が好きで、楓さんの返答に傷付いた風にしか考えられないじゃないか。
誤解されちゃ困る。

でも、俺には醜い内面があって、誰にでも好かれたいというか、別に俺はそこまで好きじゃなくても、相手に凄く好きだと言われたいとか思ってるわけで…
それもこれも、楓さんが俺のことだけ考えたいとか言うからもっと俺に縋るくらい好きになってくれたらいいのに、なんて…

「冬眞も、俺のこと好きだろ?」
「は!?」

楓さんは、またもやさらりととんでもないことを言う。
思わず顔を上げた俺に、楓さんは優しげな笑みを向けて手にしたロザリオを首につけようとしていた。
腕を首の後ろへ回して、金具を取り付ける。思ったより近くにある楓さんの顔を、俺はまじまじと見つめてしまった。

「ほら、ついたぞ」

しゃらんと鎖が音を立ててロザリオが胸にかかった。
首の後ろで動いていた手がそっと後ろ髪を撫でて、視線が合ったまま、唇が重なる。
お互いの少し乾いた唇が触れあうだけのそれは一瞬で終わった。

「…好きでもない男の手で好き勝手にされるのがいいって言うなら、そうするけど…」
「…何言ってんだ…」
「だってそうだろ。俺にやらせてくれるって事は、少なからず俺に好意があるってことでさ、悪く言えば嫌いじゃないってことだろうが」
「…確かに、そうだけど…」

なんというか、俺の思っていることと違うんだ、楓さんの言う事は。
でも確かに、だからといって楓さんに凄く好きだと言われたところで、どうしていいか分からなくなるんだろう、俺は。

「だったらそれで良いだろ?今更何考えてんだよ」

俺達は、そういう関係だろ?
と、楓さんはそう言って笑った。

「さて、御守りも付けたことだし、気を取り直して…」
「あっ…ちょっと…ッ」
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