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□悪魔でプリースト!!
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「何それ」
「これはな、俺が百回聖水で清めて念を込めまくったロザリオの二代目だ!!」
「……」

まったく、この人は一体何をしてるのか…。

「あ、お前今バカにしただろ?」

俺の心中を見通したのか、楓さんはロザリオを手にぶら下げたまま半眼で俺を見つめている。
バカにしたと言うよりは呆れてしまったって言う感じなんだけど…。

「コレをバカにするやつはオークダンジョンで沸き死するぞ…」

…それは確かに恐ろしいけどね…。

「いいか、何度も言うけど俺は化け物が大嫌いだ。だからプリーストに成り立ての頃にありとあらゆる憎悪を込めてこれを作った」

言いながら楓さんは胸元にかけられているロザリオを指差した。
それには幾つかの傷がついていて如何にも年期が入っている代物のようだ。

「憎悪って…;;藁人形じゃないんだから…」
「化け物どもに対する俺の憎悪は計り知れないんだぞ!!…とにかく、コレには幾度と無く死の淵から救ってもらったんだぜ?」

指先で持ち上げたロザリオを感慨深く見つめながら、楓さんはベッドに座ると俺にそれを近付ける。

「見てみろ、この傷はダークロードに遭遇して死にかけた時のだ。こっちはロードオブデス」

真剣な顔をして、楓さんはロザリオについている傷の一つ一つを説明してくれるが、悪魔嫌いのこの人がどうしてそんなものと遭遇する場所に居たのだろうと思うと半信半疑だった。

「…その顔は信用してないな?」
「バレましたかww」

正直に答えれば、大きな溜め息をつかれる。
確かに楓さんは強い。
一緒に狩に行ったって、悪魔嫌いと言っていながらその行動パターンは勇猛果敢で、向かうところ敵なし。
流石にボスクラスには挑まないけれど、頼りになる存在だ。
「…俺はね、この世の悪魔を全て消し去るまでは死ねないの」
「無理あると思うけど」

人の心に悪があるように、この世から悪魔が消えることはないと思う。
ぴしゃりと切り捨てた俺に、楓さんは苦笑した。

「まぁ、そういう意気込みってこと」
「なる程」
「だからさ、お前のためにコレを作ったワケ」

だから二代目なのね。
てかまた、俺のため、とか言うし。

「楓さん、俺の事好きなの?」

ロザリオを受け取りながら、俺はサラッと質問した。
楓さんはきょとんとした顔で俺を見ている。

「何言ってんだお前。好きでもなきゃ抱いたりしないぞ?」

返ってきた答えに、ちくり、と心臓に針が刺さったような感覚がした。

「……あぁ、そうですね…」

なんだ、俺、何を期待してたんだ。
さも当たり前のような返答にこんなに心がざわつくなんて一体どうしたんだろう。
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