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□一番欲しいもの
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鏡越しに背後の人物を見る。

派手な金髪のブラックスミス。

珈琲を飲む仕草は決して『優雅』などとは形容できないものだ。


「なぁカイト」
「なんだ?」

何食わぬ顔で返事をする。
相手には気取られないように。

「コレ、何入れた?」
「……」





















「っ…ちょ、カイトっ!!」

何故気付かれたのか、カイトには全くわからなかった。
リクがそこまで敏感だとは思っても見なかった。人は見掛けによらぬとはよく言ったものだと、カイトは苦笑する。

「大人しくしてろ」
「ばっ…か、無理だっ;;」

カイトは部屋にあるソファの上で一つ一つ丁寧にリクの着ている真っ白なシャツのボタンを外していった。
こういう事には慣れているだろうリクが少し頬を染めて動揺している様を見るのは、新鮮で面白い。
しかしいくら色恋沙汰に長けたリクでも、男に脱がされるとなれば慌ててしまうのも頷ける。

「あっ…待て待てッ!!」
「何がだ?」

カイトは至極当然のようにリクに訊くが、リクは相変わらずやんわりとした抵抗を続けていた。
カイトはお構い無しにリクのジーンズのボタンを外す。

「ほっ、本気か!?」

今まで悪ふざけでもしていると思っていたのだろうか。
リクは最終確認を取るような口調で言う。

「薬を混ぜたのは私の責任だ。自分のしたことの償いはするつもりだが」
「おま…っそれでいいワケ!?」

こうなるに至った理由がそれでいい筈などない。
カイトがリクの珈琲に薬を混ぜたのは故意だった。勿論始めからこうするつもりでいたのだから。
だがカイトにも考えあってのことだ。珈琲に混ぜたのは普段作る『こういった薬』に比べて効力は3倍も薄く作った。
いわば少し感度が上がる程度の代物に過ぎない。
効力で言えば『惚れ薬』といったところだろう。

「ぁ…っやめろ、って;;」

寛げたジーンズの隙間から手を差し入れ薄い布越しに触れれば、それは既に熱を持って形を成している。

「……」
「おまえ、っん…どしたの?」

普段のカイトからは全く想像もつかない行動パターンに、リクは本気でカイトの体調を疑った。
熱でもあるんじゃないか、と。

「至って普通だ」
「普通じゃねぇって!!」

リクにしてみればカイトが自分にこんなことを仕掛けて来るとは夢にも思っていなかった。
だからこそ、薬を混ぜたり、こうして触れて来る理由が何であるのかを知りたい。
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