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□2月14日
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「ねぇ、悪かったって、いってるじゃん…」
部屋の隅の方に座り込んだまま、酷く恨みの籠った眼差しを向けてくる譜迩に、琉稀はふぅと小さな溜息をつく。
「…うるさい。もう嫌い」
枕を抱きかかえたまま、いつでも投げられるように琉稀の言動を観察しているものの、琉稀は一向にベッドからこちらへ向かってこようとはしなかった。
本当に反省しているのだろうか。
謝罪の言葉は口に居ているものの、琉稀の態度はそうとは見えない。
「…ふーじー…、こっちおいで。寒いでしょそこ」
暖をとれるものは何もない場所で、冷たい床に座っていたら寒いに決まっている。
琉稀も未だに上半身裸のまま、ベッドの上に座っているだけだ。
「…それともお前は、俺が一人でしてるところ見せろっていうの…?」
「は…はぁッ!?」
半眼で譜迩を見た琉稀が気だるそうに言う科白に、度肝を抜かれる。
何を言い出すのだこの男は!
譜迩は引き攣った顔で琉稀を眺めたが、「しょうがないなぁ…」と呟いてパンツに手を掛ける琉稀を目の当たりにした瞬間、何もかも放り出してそれを止めに駆け寄った。
「いいッ!! やらなくていいから!!」
「え? じゃあなに? 譜迩が抜いてくれるの?」
「ばっ…そんな事言ってない!!」
にやりとしたり顔の琉稀を見て、譜迩はまたやられたと溜息をつく。
「まぁ、応用編はまだ無理だろうから次回に取っておくよ。そのかわり、ヤらせて」
にっこりと満面の笑顔で言われ、譜迩にはもう成すすべが無かった。
うん、ともすん、とも言わないうちに、譜迩はベッドの上に組み敷かれる羽目になる。
もう、なるようにしかならないのだ。
「前にも言ったよね、お前をくれれば他に何もいらなってさ…」
「う…」
「分かってて用意しなかったんでしょ?」
譜迩が何も言わないのをいい事に、琉稀はさらに意地悪な事を言う。
「そんな訳…ッ!!」
「やだなぁ譜迩…ホントはしてもらいたかったんでしょ〜?」
「違う! そんなつもりじゃな…っぁッ!」
脱がされた服の隙間から手を突っ込まれ、胸を弄られておかしな声が出てしまった。
「そういう何もわかってない感じなところ、ずるいよなぁ…」
耳をかじりながら琉稀が呟く。
「俺はいつでもお前が欲しいのに…」
「!!!」
演技なのか、それとも本気で言っているのか。
それが分からない琉稀もそうとうずるいと思うのは譜迩だけだろうか。
「ほらほら、他の事考えないで?」
「う、うるさいっ…!」
「はいはい。お前も煩いくらい声出していいから…」
「違うぅうっ!!」
良い様に流されて、結局は誕生日だからで納得せざるを得ない状況に追い込まれる譜迩だったが、今日は琉稀の嬉しそうな顔が少しでも見れればそれでよかった事にしようと心に決めたのだった。
2月14日.
突発ですみませんが琉稀バです!
おめでとう琉稀^w^ノ
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