SS

□2月14日
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「…口開いて」
「ん…っ」

言われたとおりに、薄く唇を開く。

「舌出して、舐めて」
「…っ…」

震える舌先で、琉稀の唇を舐める。

「舌、入れて…」
「…っん、…っ」

言われるがままに従うも、そこから先をどうしたらいいのか分からない。
どうする事も出来ずに、譜迩はおずおずと唇を離した。

「ちょっと待ってな」

琉稀は苦笑して譜迩の頭を撫でると、譜迩が琉稀に手渡したチョコレートを一粒取りだすと、譜迩の口の中へと放り込む。
そして間髪いれずにその唇へ噛みついた。

「んっ!!?」

一瞬の隙に、譜迩の口内から舌ごとチョコレートが琉稀の口の中へ移動する。
甘いチョコレートの味と、絡む舌。
溶かす様に動く舌の動きに合わせて、譜迩もそれを味わおうと舌を動かした。

「そう、いい感じ…」

二粒目のチョコレートは、琉稀の口の中。
譜迩は恐る恐る琉稀の口に着いたココアパウダーを舐めると、ゆっくりと琉稀の口内へ舌を指し込む。
いつの間にかベッドの上に片足を乗り上げた譜迩に気付くと、琉稀はそのまま体を倒した。
自然と譜迩が上に覆いかぶさる様な体勢になる。

「んっ…」
「っふぁ、…っ」

琉稀の腕が、譜迩の背中をゆっくりと摩る。
もう、口内にチョコレートは残っていない。

「ん、ッ…る、琉稀っ」

頭を押さえる琉稀の手から逃れた譜迩は、もう限界だと言わんばかりに声をあげた。

「っは、…うん、なかなか上手くなった」
「…っ」

その頭を優しく撫でながら、琉稀が笑う。
譜迩は恥ずかしさのあまりその顔を直視する事が出来ない。
自分があげたチョコレートが、よもやこんな使われ方をするなど思ってもみなかったのだ。
しかも誘導されたとはいえ、自ら口付けて琉稀を押し倒す様な形になるとは。

「もうやだ…」

居ても立ってもいられずに、思わずそんな科白が口を突いた。
そんな譜迩を満足そうな顔で眺めた琉稀は、

「応用編も、教えてあげようか?」

と、意味深な事を言う。

「お、おうようへん…?」

訳が分からずに、譜迩は鸚鵡返しする。
その瞬間、視界が反転した。
いつの間にか天井を背景にした琉稀の顔が譜迩の眼の前にある。
相変わらずの事だが、いつもされるがままになってしまう自分に少し愕然とするのも束の間で、挙句下着をパンツごと脱がされてしまった。

「ちょ、ちょっと琉稀ッ!!」
「おー、気持ちよかったのか?」
「っ!!!!」

昂ってないというのはもう弁解にすらならない。
一連の事で反応してしまった自分の体を恨む他なかった。

「応用編ね…」
「ちょ、ちょっと…ダメっ!!」

体をずらした琉稀が何をするつもりなのか悟るころにはもう遅い。
脚を閉じようにも、付け根を押さえられてしまってはどうする事も出来ない。
琉稀はそんなに力の弱い人ではないのだ。
譜迩では到底太刀打ちできるわけが無かった。
ぱくりと咥えられた譜迩自身が、びくりと反応するのが分かる。

「ん…っふ…」
「〜〜〜〜〜っ!!!!」

少し寝癖の付いた琉稀の髪が内股を擽り、欲望に絡みついた琉稀の舌の滑りがダイレクトに性感を刺激する。
時より触れる牙の感触(琉稀にされているという事が否でもわかる)が脊髄を駆け上がって、背筋を震わせた。

「きもちいい?」
「っう、ぁ、ッ!!」

反応を窺う様に、琉稀が顔をあげて譜迩を見る。
べろりと舐め上げられて、腰が疼いた。

「俺はね、こことか、舐められるの好き」
「っ! は、っぁ、っ」

尖らせた琉稀の舌先が、裏筋を伝う。
ビクリと脚を跳ね上げた譜迩の反応を面白そうに眺めて、琉稀は再び譜迩を咥え込んだ。

「も、もうダメ…っ琉稀、琉稀ッ!!」

絡みつく舌に、喉の奥まで咥えられて、吸われる。
もう限界に近かった譜迩は必死に琉稀を引き剥がそうと髪を掴んだが、先端に舌をねじ込まれた瞬間に吐精していた。
内部に残った精液まで残さず吸いだされて、体がびくびくと痙攣する。
頭が真っ白になり、一瞬自分が何をされていたのか分からなくなった。

「ん、っぷは…」

顔をあげた琉稀をぼんやりと見つめていると、琉稀は徐に口を開く。

「っ!!!!」

その中にあるどろりと白い液体が絡みついた舌を見せつけられ、譜迩は顔から湯気が出そうになった。
琉稀はそんな譜迩の反応をしこたま楽しんだ後、ごくりと喉を鳴らしてそれを飲み干す。

「ばかぁああああああああああああッ!!!!!!」

譜迩は腰の辺りにあった枕を手に取ると、したり顔で笑っている琉稀目掛けて力一杯投げつけたのだった。












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