SS

□ツミとバツ
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「…セ、セリオス…ッ!!」

何をするんだ、というのは最早愚問だった。

「…――ァッ…ッ!!」

嫌だ、嫌だと首を横に振るも、脚を閉じられない様に押さえ付けられてしまえばもう抵抗もままならない。
鉛の様に重くなった腕で必死に抵抗するも、それさえ戯れであるかのようにあしらわれてしまう。

「いやッ…ぃ…ッアァッ!!」

冷たい感触が後孔に触れる。
薄いピンク色をした棒状のものが体内に埋め込まれていく。
そこに受け入れる事に慣れてしまった体は意識とは裏腹に従順にそれを飲み込んでしまった。

「先程まで監獄の調査に行っていてな…丁度いいだろう?」

次第に体内で温められてゆくその固まりが、最奥まで押し込まれる。

「ッイ…ッぁ…」

潤いを与えられていなそこから引き裂かれる様な痛みが走った。
しかしそれさえも、それさえも脳髄を刺激する快楽にすり替えられていく。

「そんなにいいのか? では、自分でやってみせろ」

奥まで穿たれた快感に酔いそうになる瞬間、耳に響いた声に背筋が寒くなる。
のけぞっていた顔を戻せば、セリオスが再び向かいの椅子に座る様が見えた。

「…いや、…っです…ッ」

ゆるゆると頭を振って見せても、セリオスは顔色一つ変えない。
こんな姿を見せているというのに、あの男は何一つ感じないというのだろうか。
そう思うとノアールの胸は締め付けられるように痛んだ。

「…使い方を知らぬわけではあるまい」

握って、好きな様に動かしてみろ。
暗にそう言われて、逆らおうともこの体に燻ぶる火種を抱えたままではどうにもならなかった。

「ふっ…ぅ…ッ」

抜け落ちてしまいそうになっていたそれを掴んで、ノアールは震える手でそれを握り締める。
ゆっくりと奥まで押し込めば、言い様のない快楽が背骨を駆け上がった。

「ァ…ッ…、んッ」

一度感じてしまえば止める事など不可能で、もう一方の手は意図せずに再び立ち上がり始めた自身を握っている。
なんという痴態か。
こんな事を強要されて、それを実行しているなど信じられなかった。
出来る事ならこれが悪夢であればいいと、強く願うも、そんなノアールを凝視するセリオスの瞳の色は酷く鮮明だった。

「っあ、あ、…ッ―――!!」

びくびくと体が痙攣する。
ノアールは握ったそれをぐりぐりと一番感じる場所に押し当てて、淫らに汁を垂らす自身を握り締めたまま絶頂に駆け上がった。

「…貴様の体はそんなもので満足するのか…」

セリオスはただそんなノアール様子を、変わらない冷えた眼で見つめている。
ノアールの瞳からは絶えず涙が流れていた。
体内から抜け落ちた塊がごとりと床に落ちる。

「…こっちへ来い」

啜りあげて嗚咽を漏らすノアールに、セリオスが先程と何ら変わらない冷たい口調でそう言った。
震える脚では立ち上がることもままならなかったが、ノアールは這う様にしてセリオスの足元まで辿りつく。
そして、縋る様にその金色の瞳を見上げた。
陶器の様な無機質さを感じさせる表情が、ノアールを見下ろしている。
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