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□バレンタイン企画!!vol.5
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刹那にwisで呼び出されたカインは急いで言われた場所に向かう。
一体何があったと言うのだろうか。
沙稀は刹那に呼ばれて行っただけだったが、その刹那から兎に角来てくれと言われただけなのは流石に心配になる。
もし、沙稀に何かあったら自分は…

そんな事を考えながら扉を開ける。
肩で息をするカインの目に飛び込んできたのは、俯いて椅子に座る沙稀とそれを見下ろす刹那の姿だった。

「随分と早いじゃねぇか」

カインに気付いた刹那が言う。
沙稀は視線だけでカインの姿を確認すると、ふいに視線を逸らした。

「一体何が…?」

よく見れば、沙稀の頭や顔には茶色い液体がべったりとはり付いている。
カインは恐る恐る沙稀に近づいた。

「ちょっといろいろあってな…」

刹那はふぅ、と溜め息をついてそう言う。
沙稀は微動だにせず、しかめっ面で床を見ているだけだ。
焦げ臭いにおいがする。

辺りを見渡せば、調理器具や沙稀の顔に付いている液体と同じようなものが飛び散っているのが見えた。

「これ、チョコレートですか…?」

テーブルの上に乗っていたボウルの中身を見ながら訊けば、「あぁ」と肯定する刹那の声。
カインは、一瞬気が抜けたような気分になる。
だが、

「此処で何があったんですか…?なんかすごい…散らかってますけど…」

苦笑を浮かべながら問うカイン。

「俺も此処にずっといた訳じゃねぇんだが…」

ボリボリと頭を掻きながら刹那はここで起こった事を話し始めた。

「…成る程。それは…大変でしたね…」

あまりの非現実的な話に、カインは言う言葉が見つからずにそう言い、沙稀に視線を戻す。

「…帰りたい」

沙稀はいろいろな思いの篭もったため息をつくと、小さな声でそう言った。

「そうだな…」

刹那も苦笑を浮かべて言う。

「悪かったな、アイツのせいでめちゃくちゃにさせた…」
「……別に、もういいです」

元はと言えば、刹那がろくに料理もしたことがない沙稀たちにレシピも用意せずに菓子を作れなどと無理を言い出したのが問題だと思う沙稀は、様々な思いがこみ上げてくるのを堪えてそう言った。
そんな沙稀の険しい表情を見た刹那は、何か言いたそうな顔をしていたが、カインがそれを制す。

「仕方ないですよ」

にこり、と笑ってそう言うカイン。
これ以上ここには居たくない、と思う沙稀の気持ちを察して、早急に立ち去ろうと思っての事だ。

「失礼します」

軽く頭を下げて、カインはワープポータルの呪文を唱えた。
足元に現れた次元の歪みの中へ沙稀を促す。ちらり、と刹那に視線を送ってから、カインもその後に続いた。

「…ある意味、一番怖いのはアイツだよな…」

最後に送られた一瞥には、とんでもない殺意がこもっていたような気がしなくもない。
刹那はぼそりとつぶやいてから辺りを見渡した。

「…アイツにやらせるか」

ふーっと大きな溜め息をついてそう言うと、刹那は早速緋奄を呼びに行くのだった。










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