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□バレンタイン企画!!
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部屋のなかには、意味が分からずに呼び出された男達がいる。
すこし癖のある銀髪に海のような青い瞳をした男、葵琉稀。
淡い金色の髪に青っぽい紫色の瞳をした男、葵沙稀。
赤い髪と灰色の目をした浅黒い肌の男、颯緋奄。
赤みががった紫色の髪に金色の瞳をした男、セリオス・グラストヘイム。
青い髪と灰色の瞳をした隻眼の男、朔夜・バレンティ。
最強を名乗る何でも屋ギルド、「紺碧の翼」に所属する精鋭たちだ。
今日はギルドマスターの刹那から話があるとの事で集まった彼らだったが、一体どんな内容なのかということはサブマスターの緋奄でもわからないという。
「こんな風にみんなが呼び出されるなんて、なんかあったのかね?」
朔夜が呑気な声で言えば、
「どうせアイツの事だから、またなんかめんどくせぇ事でも言ってくんじゃねぇのか?」
と緋奄がやる気のない声で答える。
「…いい知らせだとは到底思えんな」
緋奄に同感だ、と言わんばかりにセリオスが付け加えた。
沙稀はその様子を黙って聞いている。
「はぁ…」
浮かない溜め息をついたのは琉稀だ。
刹那には何かと説教を食らうことも多い琉稀だったが、今回は自分以外の人間も呼ばれているからそんな事はないとおもう。しかし、これだけの実力者が集まっているのだ、きっととんでもない任務なのだろう。
なぜ自分が呼ばれたのか理由がわからない。
琉稀は、雑用みたいな真似はごめんだ、と思っていた。
「…そういやなんで琉稀がいんだよ」
琉稀がそんな事を考えていると、緋奄が同じような疑問を口にする。
全員が同じように感じて、一斉に琉稀を見た。
「知らねーよ!!俺が聞きたいしっ…」
周りには転生職の人間しかいない。
よくもまぁアサシンクロスばかり集めたものだといいたいくらいにアサシンクロスだらけで、一人しかいないハイウィザードは最早超人の域に達したような人物。
琉稀が呼ばれる理由はどこにもないのだ。
「まぁ、ちょっと落ち着きなって」
全員が不穏な気配を醸し出すのをそう言って制したのは朔夜だった。
「まだ何がなんだって決まった訳じゃないし、考えがあるんでしょ、刹那にも」
「だとしても、だ。俺たちがやるような仕事じゃコイツ即死するだけだぜ?」
ニヤリ、と意味ありげな笑顔を浮かべて緋奄が言う。
まるで面白いものでも見たそうな顔だ。
琉稀はぐ、っと押し黙った。言い返す台詞はない。
そんな緋奄を、沙稀は嫌なものでも見るような顔をで見ている。
この兄弟には緋奄に対していい思い出がない。
幼い頃から何度も死にそうな目に合わされてきたのだ。笑顔がひきつるのも無理はない。