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□Merry Christmas! -evening-
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「べ、別に俺は…い、一緒に居てくれるなら…嬉しい…ケド…」
尻すぼみに声が小さくなるのが自分でもわかる。
だって、恥ずかしいじゃないか、こんなコト言うの。
でも、気付いたら思っている事が声に出ちゃったから、しょうがないんだけど。
しどろもどろになりながら、琉稀の顔を見れば、ビックリしたように目を丸くしていた。
ぴたり、と歩いていた脚を止めて、周りの浮き足立った空気から俺と琉稀だけが浮き上がっている。
「ホントはさ、」
琉稀はバツ悪そうな顔でそっぽを向いてそう言った。
「なんか買っておくのが、いいと思ってたんだよ…」
申し訳なさそうにしているのか、頭を掻きながらぼそぼそと喋る琉稀。
俺もなんかそわそわした気持ちになって、なかなか琉稀の顔が見れなくなってしまった。
「お、俺は…別になにか欲しい訳じゃないよ…」
ざわざわとした人混みの中で、ようやく聞き取れるかどうかという音量で言う。
その後は、お互いしばらく何も言い出さなかった。
俺は何気なくポケットに入れたままにしてある小さな箱をコートの上から確認する。
勿論、コレは琉稀のために用意したプレゼント。中身は、大したものじゃないんだけど…。
「琉稀っ!!コレっ…」
居たたまれない雰囲気にどうしようもなくなった俺は、何を考えてたのか自分でもわからなくなって思わずそれを琉稀に向かって突き出していた。
「え…」
琉稀は、どんな顔をしているのか、わからない。
だって俺は、下を向いたままだったから。
俺の手からそっとそれを受け取って、琉稀は小さく「開けていい?」と言う。
俺はこくこくと頷いた。
包装を開ける音がする。
相変わらず俺は顔を上げることができなくて、そうやって琉稀が中身を見る仕草を音で聞いているだけだった。
リク兄は、言わずとも知れた武器の名工だ。指先の器用さは誰からみても一目置かれるような才能がある。
だから、俺はリク兄に頼んだことがあった。
こんなものを作ることが出来るかって…。
「……」
多分もう琉稀は中身を見たはずだ。
黙っているけど、何を考えているんだろう?
こんなものいらないとか思われてたらどうしよう。
ちょっと怖くなった俺は、恐る恐る琉稀の方を見てみる。
琉稀は、俺が渡したプレゼントを丁度身につけている瞬間だった。
「…はいる?」
サイズは、ある意味カンだった。
計った訳じゃないし、正確なものはわからなかったんだけど…。
「…うん。ちょっとデカいけど…」
そう答えた琉稀は、薄い金色に輝くリングをはめた手を俺の目の前に出しながらそう言った。
輝くリングは、左手、の、薬指に…。