SS

□Merry Christmas! -evening-
2ページ/8ページ


「琉稀!!」

見つけた。
毎回俺の武器を精錬6回目で壊してくれるホルグレンの鍛冶屋の斜め前辺りに立っている銀髪に向かってそう言えば、寒そうに肩をすくめている琉稀がコートポケットから手を上げる。

「っあ〜!さみぃな!!」

開口一番がそれか、と思うようなセリフを口にして、琉稀は笑った。

「今日は雪が降るかもって、セリオスが言ってたよ」
「マジかwwどうりで寒いわけだな」

はーっと両手に息を吹きかける琉稀は、なんだかちょっと可愛いww

「手袋する?」
「いや…大丈夫」

そう言って手を握り締める琉稀。
でも一体何をしたって言うのか、琉稀の指には沢山の絆創膏が貼られている。

「どうしたの琉稀、その手…」
「あ? …なんでもねーよ…」
「…そ、そう」

素っ気なく答えた琉稀は隠すようにポケットに手を戻してしまった。
なんか、聞いちゃいけない事だったのかな…。

「それよりさ、お前どっか行きたいとこあんの?」
「えっ?」

気落ちしてしまった俺の顔を、少し身を屈めた琉稀がのぞき込んでくる。
そんな整った顔を近付けられたら、困るんだけどっ!!って思いながらも、俺は琉稀の顔に見とれてしまった。
キリッとした精悍な顔質をしているというのに、どこか愁いを感じるような琉稀の眼は、なんとなく放っておけなくなる 気持ちにさせられる。
放っておいたら、ふらふらとどこかへ言ってしまうかもしれない、と思わせる。
さようならさえ云わずに…。
だからかもしれないな。
琉稀の周りにはよく女の人がいるのは…。
…ちょっと悔しいケド…。

でも確かに琉稀は格好いいし背もすごく高い。一緒に街を歩けば女の人はおろか男の人まで琉稀を見ていたりするんだから。でも、それだけじゃない何かが、心を惹きつけるんだ。
何でだろう。よく考えたら琉稀は自分勝手だし、強引だし、でも…優しいから…?

「…おぃ、聞いてんの?」
「いっ、いひゃいいひゃいっ;;ひひへまふっ!!」

不機嫌そうな顔でそう言った琉稀にほっぺたをつねられた俺は、うまく喋れないのも構わずにそう言って琉稀の手を離そうとする。

「ったく、何考えてたのか知らないけど、口開けっぱなしで間抜けな顔して見詰めないでくれる?」
「なっ!!」

ふっ、と小馬鹿にしたような笑い混じりに言われて、俺は頬が熱くなるのを感じた。
うあぁ、なんて恥ずかしい事を…。
わざわざそんな事言わなくたって良いじゃないかっ。

「で?どっか行きたいの?」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ