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□6月のアサシンデレラ
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「本当に、貴方には感心してしまいますよ」

琉稀の傍らには黒髪のアサシンクロスが、モップに凭れ掛かる様にして立っていました。
その表情は笑顔であるものの呆れた様な色が見え見えです。

「つべこべ言わずにやれ」

壁に寄り掛かる様に琉稀を監視しているのは金髪のアサシンクロス。彼は琉稀の実兄で沙稀といいます。

「そうですよ〜?俺は沙稀とは違って優しいですから、手伝いますんでさっさとやっちゃいましょうね」

黒髪のアサシンはカインという名前で、沙稀の召し使いです。
カインは琉稀が掃除した後をモップで丁寧に拭き取る係りですが、琉稀が真面目に掃除をしないせいで手持ち無沙汰になっていました。

「カイン、余計なことはいい」
「甘いですよ沙稀。もっと真面目にやらせないとね…」

ただ監視するだけの沙稀とは違い、カインはモップで琉稀の足をつつきます。

「ほらほら。俺の仕事ができませんよ」

笑顔の裏に見えるただならぬ気配に、流石の琉稀も嫌な悪寒を感じずにはいられません。
カインの年は琉稀よりも六つも下ですが、実力は沙稀ともあまり変わらないものを持っています。

「うぅ…めんどくせーっ!!!!」

琉稀の情けない声がロビーに響きました。

















その頃、プロンテラにあるお城ではバタバタと忙しく走り回る一人のブラックスミスの姿がありました。

「譜迩!!舞踏会来週の日曜日に決まったぜ!!」

ブラックスミスはリクといいます。
リクは譜迩の部屋のドアをぶち壊すような勢いで開くなりそう叫びました。

「えっ!?ナニ舞踏会って!?」

わけも分からず綺麗な衣装の丈合わせをさせられていた譜迩は驚き、目を丸くしてリクを見返します。

「舞踏会は舞踏会だ!!お前もいい加減結婚を考えないといけないって親父がうるさくってな!!」

リクは何故か引き釣った笑いを浮かべてそう言いました。
その瞳の奥にはその台詞とは裏腹な思考が張り付いているように見えましたが、譜迩は敢えてそれには気付かない振りをします。

「そ、そんな…急に言われても…」

もじもじとした仕草をする譜迩に、リクは相変わらずの笑顔を返すのみ。
するとそこへ疲れた表情のアルケミスト、カイトが現れました。

「段取りは決めた…後は…頼む…」

カイトは心身共にボロボロの様子です。
二人はカイトに何があったのか大体は察しているがやはり敢えて何も聞きませんでした。
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