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□狩の準備は念入りに
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「お前、その装備なんとかしろ」

一緒に狩にいった琉稀が、開口一番に言った台詞だ。

「え…?」

譜迩はきょとんとした表情で琉稀を見上げる。

「…何そのゴミみたいな装備」
「はっ!? ゴ、ゴミって…」

言われて、譜迩は自分の装備を確認する。
上着にはロッダフロッグカード、盾はリジットに武器はデクストロース。

「何がいけないの…」
「死にたいの?」
「え?」

掛けられた言葉に再び疑問符を投げる譜迩。
琉稀は苛立ちを露わに大きな溜め息をついた。

「お前ね、装備って着てるだけで良いとでも思ってんの?」

がしがしと頭を掻いて、琉稀は言い放つ。

「そんな装備じゃこの先やってけねーよ」
「大丈夫だよ!!VITも少しは上げてるし…」
「あーもう!! お前何も判ってない!!」

琉稀の懸念に対してあっけらかんと言い返してくる譜迩に苛立ち、琉稀は大声で怒鳴った。


「いいか!? ちょっとでもお前に当たったらお前が先に死ぬんだぞ!?」
「そ、そんな事ないよ…」
「そんな事ある。よく考えろ! お前はDEX寄りの支援プリースト! 俺は攻撃を避けるしかないアサシン!! 沸いたらヒールなんて間に合わないだろ!!」

一気にまくし立てた琉稀は大きく息を吸い込んで吐き出す。
譜迩は呆然と琉稀を見つめていた。

「お前は避けれない上に紙っぺらだからな。お前が今まで立ってられたのは、俺が全部タゲ取ってきたからだぞ? 俺の後ろに立って、俺がダメ受けたらヒールして、支援切れたら支援かけて…それでもギリギリだぞ!?」
「でも、今まで出来てたんだし…強くなってるでしょ…? 大丈夫なんじゃ…」
「駄目!!」
「っ…」

ぴしゃりと言い放たれ、譜迩はびくりと肩を揺らした。
一体何がそんなに駄目なのだろうか。

支援の腕が上がったと思い込んでいた自分が居たのも確かだが、何もこんな風に言わなくても良いではないか。

「装備は何のためにあると思ってんだ? 身を守るためだよ! 火を防ぐのに直ぐ燃えるようなもの使うか!?」
「あ…そうか…」

そこまで言われて、初めて気付いたような反応を見せた譜迩に、琉稀は嘆息した。

「ったく、だからお前はバカなんだよ」
「…ごめんなさい」

非を認めて謝れば、琉稀は不機嫌そうな顔をしながらも譜迩の頭を撫でてくれる。
しかし、何故急に装備をなんとかしろなどと言い出したのか。

「でもさ、何で急にそんな事…」
「支援が倒れたらパーティーなんてすぐ全滅だよ。特に俺は。ただでさえ沸かれたら手に負えないんだから…」
「う、うん…そうか…」

この前失敗したからだろうか。
譜迩は腑に落ちない態度で相槌を打つ。


「てゆーかお前の兄貴はあんな精錬狂の癖に、なんでお前の装備はそんなゴミなわけ?」
「ご、ごみはよしてよ…。リク兄には…あんまり迷惑かけたくないからさ…てか、これでも平気だと思ってたから…」

ぼそぼそと申し訳なさそうに答える譜迩に、琉稀はまたもや嘆息する羽目になった。
別に琉稀は装備を整えて欲しいわけではない。だが、そう言わなければならないのは仕方がなかった。
苦い表情でうなだれている譜迩を見ながら、琉稀はがしがしと頭を掻く。

「兎に角、リクに相談しろ。狩に行くのはその後」
「はい…」

すっかり萎縮してしまった譜迩は下を向いたまま元気のない返事をするのみ。
少し強く言い過ぎただろうか。
しかし、琉稀にはこれ以外に言う手段がなかった。
いや、もう一つあったかもしれない。
本音を言ってしまえば、不安だったのだ。




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