SS
□この日だけは
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その意味深な笑顔はなんだ。
絶対わざとだろうが!
「一体何の用? アンタに付き合う義理私にはないわよ」
「別にお前なんかと付き合いたくn…」
バキ!
「…」
血が噴出すんじゃネェかそろそろ。
エリザは無表情で地面に蹲る俺を見下ろしていた。
その姿はまさに『女王様とお呼び』といっているSM嬢の如し。
「す、すいません…アインブロックのポタ欲しいんですけど…」
俺は予め用意しておいたブルージェムストーンを5個ほど差し出してエリザにそう言った。
「何よ、そういうことなら早く言いなさい。余計な無駄話するからいけないのよアンタは」
余計で無駄な話して悪かったな、ゴリラ女。
思わずそんな言葉が出そうになったが、必死でこらえた。
次は確実に仕留められると思ってさ…。空気読める人間でよかった。
エリザは俺からブルージェムストーンを受け取るとワープポータルの呪文を唱える。
地面に空間の歪みが発生した。
いいなこれ、俺も使いたいぜ。
「サンキュ〜」
エリザはポタを出してくれた上に回復呪文と速度増加もかけてくれた。
全く、あの凶暴ささえなけりゃいい女なのにな〜なんて、年下の俺に言われたらあの女はどんな顔すんだろうな。
俺はエリザに向かって礼を言うと早速その空間の歪みの中へ足を運んだ。
辺りの景色が歪み、一瞬で景色が切り替わる。
スモッグで霧がかかったような金属の町並みが視界いっぱいに広がった。
濁った空気が肺の中に充満してくる。
「ァ〜、キタコレ」
街中も酷い煙たさだが、太陽の光さえ疎らにしか届かないほど分厚い排煙に覆われた空。
なんだってこんな酷い状態になってんだこの街は。
生産に力入れるならこの廃棄もなんとかするように出来ないのかね。全く。
ぶつくさ文句を言いながら俺は辺りを見渡した。
そういや、何しに来たんだっけ?
「遅かったな」
背後から声をかけられて、俺は後ろを振り返った。
そこには生まれた時から知っている金髪のアサシンクロスと、黒髪のアサシンクロスの姿があった。
「こんにちは、琉稀さん。久しぶりですね」
にっこり微笑んでそういったのは黒髪のアサシンクロス。
どうやったって俺より5つも下には見えない落ち着き払った男だ。
「おう。元気そうだなカイン」
俺はそう返してカインの頭を撫でてやった。
コイツは一時期俺たちの前から姿を消していた時期があったが、いつの間にか戻ってきていたわけだけど…成長期っていうのかねぇ、それを見逃した俺はいきなりコイツがでっかくなったように思えてそりゃあビックリしたりもしたんだよな。
まぁそこらへんの話は省略して、と。
「で、何すればいいわけ?」
俺は黙っていた(いつもなんだけど)兄貴に向かってそういう。
「工場内にテロリストが立てこもっている。ここらで枝を200本くらい折っていてな。この辺りは既に殲滅したが、他の連中はまだ残っているのを片付けているところだろう」
「ひゅ〜…派手好きだね。クリスマスに因縁でもあるのか?」
「どうだかな。どちらにしても迷惑な話だ」
一緒に来た奴らの手が塞がったままで人手不足ってことだな。
だけど、俺なんか必要なのか?兄貴とカインで十分なんじゃないか…?
なにしろこの二人、俺に比べたら鬼の如しだぜ。
「琉稀、お前に頼みたいのはテロリストの拘束だ。クローキングで潜入しろ。鼻が利く奴らは俺たちが殲滅するから、その隙に…」
「なるほどね」
確かにそれなら俺にも出来そうですねw
よし、隠密行動ってやつだな。アサシン冥利に尽きるぜ。
って、それって俺じゃなくてもいいよなぁ?なんか、体のいい小間使いにされてねぇか?俺…。
「背中は任せてください。琉稀さん」
「…おう」
なんか、虚しくなるよねコレ。