連載

□記憶の傷跡A
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『記憶の傷跡』2 ―Side沙稀―

自分はこのまま死ぬんじゃないかと思った。
地面に倒れたまま、沙稀は動けずにいる。
地面が冷たい。このまま自分の体温がすべてこの石に吸い取られてしまうのか、またはそこらをうろついているであろうモンスターによって息の根を止められるのか。
いまの沙稀にはもうどちらでもよかった。

どうせ死ぬのなら、死んでしまうのならどうなろうと結果は同じでしかない。



「ハーッ!!しけた任務だ」
「そんな事言うもんじゃないぞ!!」
意識を失いかけたところへ、その場にそぐわないやる気のない声と、それを叱咤する声が聞こえてきた。
「大体首都のテロに対してなんでわざわざモロクから出向かなきゃならないんだよ」
「それが任務だからだ!!」
「なんでも任務任務って、お前仕事バカじゃねーの!?このワーカーホリックめ!!」
「うるさい!!誰に口を聞いてるんだ!?」
「はいはい。裏マスター」
漫才でもしてるのではないかと疑われそうな二人の会話は、次第に沙稀のところへ近づいてくる。
沙稀は指先に触れるだけだった海東剣を握り締めた。
「お?裏マスターさんよ。コイツまだ生きてるみたいだぜ?」
二人のうち一人が、倒れている沙稀の顔を覗き込んでそう言う。
派手な紅い髪をしたキツイ印象の顔たちをした男だ。
「ん?うわっ、子供!?血だらけじゃないか!!ヒールッヒールッヒーーーーッル!!」
赤髪の男に言われるがまま瓦礫の向こうから姿を現した薄紫色の髪の綺麗な男―男相手に綺麗はないがそうとしかいいようがなかった―は沙稀を見かけるなり髪の毛にクリップを装着してそう叫ぶ。
「バッカ。ヒルクリじゃどうにもならねーよ」
「だけど放って置くと死んじゃうかもしれないだろ!?」
「お人好し〜〜。暗殺集団のマスターとは思えないね!!」
「言ってろ!!おい、大丈夫か!?」
どうでもよさそうな声で茶々を入れる赤髪の男にそう言い捨てると、紫の髪をした男は沙稀の背中に腕を差し入れ、そっと上半身を起こした。
沙稀は数回咽た後、力の入らない腕で手にした剣を振り上げる。
「・・・ッ」
突然の出来事に男は僅かに身を仰け反らせたが、怪我をしている沙稀から手を離すわけにも行かず完全に刃を避けることはままならなかった。
男の綺麗な顔に、一本の赤い線が走る。
「オイッ!!このクソガキ!!」
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