連載

□砂上の唄2
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「おーい!! こっちにいたぞ!!」

カインがじっとしているのを見遣って、男は他の仲間を呼ぶ。
男が背後に視線を移し、そして再び視線をカインへと戻した瞬間、カインは地面を蹴った。
男の瞳にはそれが綺麗なスローモーションの様に映る。


黒衣を纏った黒髪のアサシンクロスの姿は、一瞬で暗闇の中へと飲み込まれてゆく。

姿が闇に飲まれるのと同時に、カインの意識もどこか優しい闇の中へと吸い込まれていった。
















生体研究所で、彼らが逃げ出した時。
そこには依頼を受けたアサシン数名が忍び込んでいた。
彼らが拘束具を断ち切る隙を見出せたのも、そこへ侵入していた者たちが暗躍していたからに他ならない。

逃げ出そうと必死にもがく被害者の子供たち。
金髪のアサシンクロスはその中の一人しか助けることが出来なかった。
暗殺者が人を助けるなど、彼自身も考えたことがない。
だがその時、彼にはその子供が幼い頃の自分の弟の様に映った。
突如町の中で起こった魔物の暴走。
記憶がフラッシュバックする。
金髪のアサシンクロスは咄嗟にその少年の手を取った。


「オマエの名前は?」

「カイン・・・ハーヴァイル・・・」





























『貴方に逢えて、本当に嬉しかった』















忘却ノ追憶・・・END.
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