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□月光2
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 小さな頃から、こうしてきた。
 だから、どんな感情も浮かんでこない。
 だから、こんな風に―…。
「誰か、居るんですか…?」


 不意に、背後から声がした。
 何をしていたんだ、自分は。近付かれることを許すなんて。
 しゃがみこんでたった今、自分が命の灯火を吹き消した相手の持ち物を調べていた処だった。
 自分の仕事は、暗殺だ。職業は、暗殺者。
 誰にも気取られる事なく、自分の仕事をまっとうするのみ。
「…誰だ?」
 面倒くさそうに、彼は立ち上がった。声のした方角へ目を向ける.
 足元の死体を隠そうともせずに。
「えっと、俺は…」
 少し緊張感のない声とともに、少年が姿をあらわした。
 真っ赤な髪をした、アコライト。
「あ! 貴方は…!」
「??」
 少年は彼の姿を見つけると、ぱっと笑顔を浮かべて近寄ってきた。
「来るな」
 彼は眉間にしわを寄せ、静かにそう言う。
「誰だか知らないが、仕事の邪魔をするな」
「仕事?」
 彼はいまいち仕事に対して緊張感を持っていない。ただ、あとあと面倒くさい事になるのを懸念してるだけだ。
 仕事の内容も、楽しいのか楽しくないのか、自分の興味がある仕事しか請け負わない。
 本来のアサシンが当たり前のようする、あたりへの警戒すら、しない事の方が多かった。
「死にたいなら首を突っ込んだらどうだ?」
「え…?」
「俺はアサシンだぞ?」
 少年は大きな目を瞬かせて、彼を見つめた。
 少年は知らないのだ。
 他のアサシンが全ての任務を闇の中で行ってきた。その所為で、アサシンの残忍さや、非情さが一般の人々に浸透していない。
 それを知っている者は、最早この世に居ないのだから。
「そんなの知ってます」
「…しらねぇだろ;」
 少年は威張るようにそういった。彼は大袈裟なため息をつき、答える。
「へぇ…。じゃあ、お前は此処で潔く死ねるんだな。その年で随分悟ってるんだなぁ…流石、坊さんだね…」
 彼は意地の悪い笑みを浮かべ、嫌味をたっぷり込めた言い回しで少年に信実を伝えた。
 少年の顔色が僅かに曇った。
「え…? 嫌だなぁ…俺まだ死ぬ気なんか…」
 少年は引きつった笑みを浮かべてそう返す。
「…鈍いな。バカなやつ」
「は…? 馬鹿ってなんだよ!? 失礼だな、貴方…これでもINTは85ある…ッッ!?」
「潜在的に、バカなんだよ」
 自分の置かれている状況を説明してやったのにも関わらず、少年は理解をしていないようだった。
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