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□Merry Christmas! -night-
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食事もすんで、ワイングラスだけを持って言葉を交わすだけになった頃。
向かいに座っていた琉稀は何時の間にか譜迩の隣に座っていた。

珍しいな、と譜迩は思う。
理由は簡単だ。琉稀という男はそんなに酒に強い質ではないのに、開けられたワインは既に二本目だったからだ。

「琉稀、大丈夫なの…?」

譜迩は、自分が話すことを相槌をうちながら聞くだけの琉稀に思わずそう訊く。
かく言う譜迩も、結構酔っている自覚があった。

「うん…?」

琉稀はそんな譜迩の頭を撫でながら首を傾げる。
焦点こそ狂ってはいないものの、その眼は明らかに酔っている琉稀のそれだ。
琉稀は感情が高ぶったり気分が高揚したりすると瞳の色が赤く染まるという特異体質がある。それは体調の変化などによっても直ぐに現れるものだ。

そんな琉稀の瞳はキャンドルの光に照らされて多少わかり辛くもなっていたが、譜迩から見れば明らかに先程と違うということがわかる。
普段なら空色の琉稀の瞳は、今やうっすらと赤みがかって見えた。

「大丈夫だよ…」

答える声も、普段よりいくらか甘い。
そしてなにより、このスキンシップの多さは絶対に普段の琉稀からは予想も出来ないものだった。

「…もうそろそろやめとこう?」

そう言いながら譜迩はそっと琉稀の手からワイングラスを取り上げようとしたのだが、

「っ…!!」

カシャン、と、床に落ちるワイングラスは自棄に綺麗な音を立てた。
伸ばした手は手首を掴まれ、体は何時の間にかソファに押し倒されている。
一体、何が起こったのか理解する頃にはもう唇を塞がれていた。

「はっ…んんっ…ッ」

不自然な体制で押さえつけられて、深く深く口づけられる。

吐息さえも奪われるような口づけと、抵抗すら出来ない拘束。
ワインの味が残る舌先が、譜迩の口内蹂躙する。

「はっ…、譜迩…」
「ふぁっ、あっ…ッ!!」

唇を離した琉稀はくろげられた譜迩の襟元に顔を埋めると、首筋から耳の裏辺りに舌を這わせた。
ぴくり、と譜迩の首が仰け反る。
ぶつっとシャツのボタンが引きちぎられる音がした。
露わにされた鎖骨をキツく吸われ、くすぐったいような痛みが走りる。
もう一度、琉稀は首筋を舐めた。
少しだけ荒くなった琉稀の呼吸が耳元をくすぐっている。
ちょっと待って、と口に出そうとした瞬間、皮膚を突き破る鋭い感覚に譜迩は思わず息を止めた。

「ッア、ァ…!!」

全身が強張り、譜迩の目尻には涙が浮かぶ。
一瞬、譜迩は血の気が引くような恐怖を覚えた。
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