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□悪魔でプリースト!!
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俺、椿冬眞はある特異体質を持っている。
それは霊媒体質っていうのか、要するに悪魔だとか幽霊だとかに好かれやすい体質らしく、そういう類のモンスターがよってきたり、挙げ句の果てに取り憑かれたりすることも多々あるのだ。
だから、狩場によってはレベルが足りてても独りじゃ行けない。
だから、ペアで狩に行くときは対魔スキルのあるプリーストと行くことが多いのだが、最近出逢ったこのプリーストときたら…
「来るなァアアアッ!!」
彼は雄叫びを上げながら、手にしたチェインを振り下ろす。
その威力と来たら深淵の騎士も倒すくらいのものだが、当の本人は冷や汗をかいていた。
そう、この人は幽霊とか悪魔が大の苦手なのだ。
「このドグサレ野郎!!死ねぇええっ!!!!」
「楓さん、それもう死んでるから…」
背後を彷徨いていたウィスパーにすら渾身の力を込めたクリティカルヒット。
べっちゃりと地面に広がったソレをおぞましい表情で見下ろすプリースト、紅月楓は、俺とセフレみたいな関係にある。
セフレって言うと聞こえが悪いから、ヤることはヤってるけど別に付き合ってはいないっていった方が正しいかもしれない。
まぁ要するにセフレなんだけど…
「ふざけんなっ!!なんでこれからって時にこんなクソどもに邪魔されなきゃなんねーんだよっ」
楓さんはそう言ってルアフ飛ばしながら部屋をぐるりと一周する。
…上半身裸で。
「お前もなんとかなんねーのかよその体質…」
「そんな事言われてもね…俺も原因知りたいよ…」
化け物が嫌いなプリーストと、化け物を呼ぶアサシン。
元々対局な職業の上に、そんな体質もあって、これからって時にまずは対魔式から始めなければならないのはいつものことだけど。
「くそ〜っ…セックスは集中力なんだぜ?今はお前のことだけ考えてたいのになァ…あー邪魔くせぇッ」
今さらっととんでもないことを言わなかったか?
あんまりに普通すぎて、聞き逃すところだったけど…
「…集中力ねぇ…」
ぽつり、と繰り返せば
「そうだろ。場所とか選ばねーよ俺は」
とまたさらりと爆弾発言。
「俺は嫌だな…」
「いや、集中できりゃいいの。だから本当に邪魔なんだよコイツら」
まぁ、そういう事ね。
俺の事だけを考えてってところに引っかかったんだけど、楓さんそこんところは無意識だろうな。
別に俺だって楓さんの事がめっちゃ好きって感じじゃないし…別にそこまで気にする問題じゃないよね。
「そうだ。こんな事もあろうかと思って用意してきたんだよ」
そう言って楓さんが取り出したのは、何の変哲もないロザリオだった。