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「わぁ! 綺麗な桜ですねぇ…」
満開の桜の下を歩くのは、紺碧の翼に所属する沙稀、琉稀、カイン、楓。
「花見するって、譜迩が意気込んでたなぁそう言えば…」
どっぷり日も暮れて、吹き抜ける風がまだ冷たい深夜だった。
桜は、6分咲きといったところだろうか。
「…もう少し咲いたら、見ごろでしょうね」
珍しく琉稀にほほ笑んだカインがそう言う。
確か、カインは桜の花が好きだったなぁと思いながら、沙稀は木を見上げる。
立派な桜の花が、冷たい風の中で凛として咲く様子はどことなく彼に似ている様な気が―…
などと惚気たようなことを考えていた時だった。
「桜の花が綺麗に咲くのは…何故だか知っていますか?」
前を歩く琉稀の背中に向かって、カインがぼそりとつぶやく。
「さぁ? 花なんてみんな綺麗に咲こうとすんじゃないの?」
気のない様子で琉稀が答えた。
ざっと風が吹き抜け、カインが小さく笑う。
「…あの一角だけ、とても綺麗に咲いていると思いませんか?」
カインが指をさした方角を、全員の視線が追った。
確かに、あの木だけはどことなく他の木とは花の様子が違うような気もしなくはない。
三人がそう思って桜を見上げた時だった。
何故だかピタリと風がやんだのは。
「取り分け綺麗な桜の木の下には、人の死体が埋まっているそうです…」
妙に静まり返った空気の中、カインの声が澄んだ空気を震わせた。
「ルアフッ!!」
「サイトッ!!」
反射的に呪文を唱えた楓と、ロホンカード挿しのクリップを装備した沙稀が必要以上に大きな声を出して、辺りをうろつき始める。
「うわっ、ちょっと、何してんの…?」
突然大声を出した二人に、琉稀はびっくりしたなぁと焦ったような声をあげるが、二人には聞こえていないのか引きつった表情で何かを探すように呪文を連発していた。
「うわぁ…あの二人真剣すぎるだろ…」
まさかカインの話を信じているんじゃないだろうかと琉稀はため息をついたが―…。
「ちょうど、牛の刻ですね」
にっこりと笑ったカインがそう言うと、何故か背筋が急に冷たくなってくる。
「……っ、サイトォッ!!」
咄嗟にクリップを取りだした琉稀が、同じように辺りを警戒しだしたの理由は言うまでもない。
「おおお、俺は別に怖いとかそういうわけじゃないぞ! 浮かばれない魂を鎮魂するためにだな…」
「ねぇ、なんか背中寒いんだけどなにもいないよね!? 見えないよね!?」
「……もう、帰りたい」
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2012/4/5