+Shot one take!+
□It's desperate situation!
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琉稀は突然アジトにある刹那の部屋に呼ばれた。
どうせ、もう少しましな仕事をしろだとか、スキルを磨けだとか言われるんじゃないのかと想像していたのだが、部屋に集まる面々を見渡して首をかしげる。
そこに居たのは、緋奄をはじめとするギルド内の上位職の者ばかりだった。
こんな場所に自分が呼び出される理由はなんだろうと思案していると、刹那が吸っていた煙草を灰皿に押し付けてから口を開く。
「まぁ、なんだ。今日テメェをここに呼び出したのはちょっとした訓練の為なんだが…」
ふーっと肺に残っていた煙を吐き出しながら刹那は琉稀を見た。
「アサシンってのは、諜報活動がメインの仕事になるわけだが、相手方に捕まっちまう事も無いわけじゃねぇ」
鋭い視線が琉稀を射る。
思わずごくりと喉が鳴った。
一体何の訓練をするというのだろうか。
揃っている面々を見渡すと良い予感がしなかった。
「捕まった時に、拷問だの何だのを受ける可能性もある」
刹那はそんな琉稀の様子に気づいているのかいないのか、淡々と話を進めている。
琉稀は気が気ではなかった。
「拷問ってのは痛いだけじゃねぇ。精神的にも肉体的にも痛めつけられるわけだが―…」
そこで刹那はセリフを切った。
にやりと、口元だけを上げた笑みを作って鼻を鳴らす。
「犯される場合だって考えられんだろ」
言われた言葉に、琉稀の表情が引き攣った。
「い、いやそれは…そんな趣味の人あんまりいないと思うけど…このギルドじゃないんだし…」
「なんか言ったか?」
「イエ、なんでもないです…」
刹那の目が細められたのを見て、琉稀は小さくつぶやいた言葉を即座に無かったことにした。
「で、だ。」
琉稀が腑に落ちない顔をしているのを無視した刹那が、ぐるりと部屋の中を見渡してから琉稀に視線を戻す。
「いきなり敵方に捕まって犯られると、精神的なダメージがでかいからな。ここにいるやつらで一回経験しとけ」
「は?」
思わず琉稀の口から間の抜けた声が出た。
一体何を言い出すのか。
琉稀は状況が把握できずに硬直してしまう。
「琉稀ちゃん、悪い事は言わないから、緋奄とランフィスはやめといた方がいいと思うよ? マジで、シャレになんないから…」
ソファの後ろにもたれかかっていた朔夜が琉稀の耳元で囁いた。
しかし今の琉稀の頭ではそれがどういう意味なのか理解できない。
「ちょ、ちょっと待って…え? どういうこと?」
「だから、初めてだとダメージでかすぎるだろ。だったらまず犯されといたほうがいいってことだ」
「一流のアサシンになる為の通過儀礼だと思え」
緋奄と、セリオスが交互に答える。
それはとどのつまり…。
「お、俺がこの中の誰かに犯られろってこと!?」
そうだ、とその場にいた全員が首を縦に振る。
「え…なにそれ…。ね、ねぇ兄貴…まさか兄貴も…」
琉稀は壁に寄り掛かって腕を組んでいる兄の方を見てそう問うた。
そうじゃないと、否定をしてほしかったのだが―…
≪……なんで俺が緋奄さん苦手なのか、まだわからないのか…≫
Wisで返ってきた答えに、琉稀の顔は益々引き攣った。
酷い目に遭わされたとは聞いていたが、まさかこれだったとは微塵にも思わなかった。
一体どうすればいいんだ!
琉稀が思わず頭を抱えた瞬間だった。
「まぁ、ショックとナニはでかいほうがイイだろう。その分他はどうでも良くなるだろうし…なぁ、緋奄」
と、刹那がわけのわからない解釈でそう言う。
ちょっと待ってくれ、という言葉さえ出なかった。
「あー…、なんだ、また俺に嫌われ役やらせんのかテメェ…。ビービー泣きわめく男抱くのは趣味じゃねぇんだけどな…」
しかたねぇな、と頭を掻きながら緋奄が向かいのソファから腰を上げる。
「え? え、嘘…。ちょ、ちょっと待ってって!」
近づいてきた緋奄から逃げるようにソファの端に寄るが、後ろから伸びてきた朔夜の腕が琉稀の体を押さえつけた。
「痛いのは始めのうちだけだよ琉稀ちゃん」
「琉稀、なんなら…今のうちに麻痺させてやってもいいが…」
いつの間にか近くまで来ていた沙稀が、少しばかり憐みを込めた声でそう言う。
「いやそうじゃないでしょ…、ちょっと、止めてよ二人とも…!」
まさか、冗談だろ。そういう言葉が頭の中をぐるぐる回っている。
「大人しくしといた方が早くすむぜ?」
ソファに片足を乗り上げた緋奄が琉稀の肩に手をかけてそう言う。
「琉稀くん、潤滑剤なら持ってきてあるから…」
怪しげなボトルを手にしたランフィスが眼鏡越しににっこりとほほ笑んだ。
「つまらん余興だな」
押さえつけられた状況では顔が見えなかったが、セリオスがそう言った。
「ま、観念して受け入れとくんだな」
緋奄の肩越しに見えた刹那が、再び煙草に火を灯しながら悠然と笑うのが見える。
「ちょっと、本気かよ! 待って待って…!心の準備が…ッ!!」
琉稀がそう言うのと、服が破かれる音が鳴るのは同時だった。
「ちょあぁあああああああっ!! や、やめてくれぇえええええええっ!!」
ランフィスが手に持っていた潤滑剤が下半身にどぼどぼとかけられ、パンツの前を寛げた緋奄の既に猛りきったモノが後孔に当たる。
「いいい、いきなりは無理だろっ!! おい、マジでやめろっ!!」
「うわぁあああああああああああああああああああああああ!!」
「はぁっ…はぁっ…ッ!」
「だ、大丈夫? すごいうなされてたけど…」
琉稀は顔を覗き込んできた譜迩を見上げながら、大きく息を吐いて額に滲んだ汗を拭った。
「今まで見た中で最悪の夢だった…」
If it become a reality, would be more frightening than a nightmare.
2012/4/4