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□終焉
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血の、匂い。


「…くさ、」


顔にこびりついた血を拭おうと、袖で顔を拭く。
が、そんな行為も空しく、袖にも赤はこびりついていて、顔は余計に汚れた。
足元には、元部下がごみのように転がっている。
俺「達」に反抗的だった名前も知らない馬鹿は、金で雇った数人で殺しにかかってきた。
…努力空しく、全員死んだけど。


「あーあ、服もう染みになるよなあ」


暢気にそんなことを言ってると、静かだったその場に高い銃声が響く。
弾が頬をかすめ、近くにあった壁に穴が開く。
それを確認した後、銃口をこちらに向けた男が目に入った。


「ぅ、あああぁ……」
「………」


男はがたがたと震える手で、尚も銃は下げないまま、標的は俺に絞られてる。
はあ、とわざとらしくため息をつけば、震える手が余計に大きく揺れた。


「!がっ……!!!?」
「!!」


銃声とは違う、鈍い音が響いた途端、男は静かに崩れ落ちた。
男の背後に突然現れた男は、わざと男の体を踏みながら俺の前に立つ。


「…汚れた」
「…え、あ、うん。そうだね。ハンカチあるよ使う?」


男――俺の兄であるキレネンコは長い脚を目の前に突き出して、お気に入りのシューズを見せる。
どうやら血で汚れて不満のようだ。
幸い汚れてなかったハンカチを渡すと、キレネンコは無言のままそれを受け取り、シューズを磨き上げる。


「兄貴、他の奴らは?」
「殴って海に沈めた」
「………」


シューズ汚しやがったし、と不機嫌を隠そうともせず、眉間に皺を寄せたまま呟く。
多分そいつらは死んだだろう。
運のない馬鹿、と心でほくそ笑み、先ほど倒れた男から銃を奪い、気絶しただけで呼吸のあるだろうそいつに銃弾を放った。

赤が弾け飛んで、残りすくなかった服の白が無くなった。

ああ、なんか気分悪い。
口に血が入るし、鉄の味するし。
兄貴も、そんな味すんのかな





「…兄貴」
「……ん」
「…なんでもない」




 
 最後無理矢理感が……



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