黒バス/長編/今吉 U

□第46話
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あれよあれよと時は流れ、気が付けば新学期を迎えていた。
正月休みなど私にはなく、部活か冬休みの宿題に追われ続けた。

休み明けのテストも終わり、今日からまた毎日部活だ。
寒いなどと文句を言ってはおれず、若松キャプテンの下、桐皇バスケ部は再スタートをきっていた。
大輝も部活に来ている。



「そう言えばよ、」
「?」



本日の練習も終わり、若松先輩は水を入れながら私に声をかけてきた。
すぐ横にはさつき、大輝、良くんがいる。

その光景の中に今吉先輩や諏佐先輩を初めとした3年生が居ない事に未だに寂しさを感じる。
3年生が引退してから時間はたっているのにやはりまだ慣れない。



「お前ら球技大会何出るんだ?バスケか?」
「ボクはバスケです」
「さつきはバレーだっけ?」
「そうだよ」
「名字は?」
「バスケです」



経験者はやって欲しいと頼まれ、私を幼い頃から知っている同級生に誘われてバスケをやる事になっていた。
運動は出来る方ではないが球技は得意で、しかしバレーはあまり得意ではないのでちょうど良かった。

身長が高い為、ただでさえ期待されていたのにも関わらず、さつきが「名前バスケ上手いよ!」何て言ったもんだからプレッシャーが半端ない。
ついこの間大輝と1on1をやって負かされたというのに。



「名字バスケ出来るのか?」
「上手いですよ!」
「嘘言わないで、プレッシャーかけるつもり?」
「オレが教えてやろっか?」
「お前が教える事は何もねぇよ、コイツ十分上手いし」
「…何だその口のきき方は!!」
「また始まった…」


ギャーギャー言いながら若松先輩は地団駄を踏み、そして大輝に怒鳴り散らす。
私は笑いながらそれを見ていた。
さつきも良くんもハラハラしていたが。

何人かが自主練の為に残り、大輝も何だかんだ言って自主練の為に残っていた。



「お前球技大会に向けての練習してるのか?」
「はい、体育の時に」
「部活終りにもやったらいいじゃないか」
「いや、私は…」
「名前、1on1やるぞ」
「やだよ疲れる」
「お前負けっぱなしでいいのか?この間だってオレに全敗…」
「あれは何年ぶりかにやったからでしょ!?違うもん!!」
「ま、オレの勝ち逃げでいいけどなー」
「あ?…良くん良くん、バッシュ貸して?」
「え?」



自主練の休憩をしていた良くんの肩をとんとんと叩き、にこやかに話しかけた。
怯えてたけど。

靴のサイズが流石に違い履くことができなかったが、隣で女子のバスケ部が練習を終えた為、同級生にバッシュを借りた。

さつきに器具庫を見張ってもらって体操服に着替える。
今日体育があってしかもバッシュも借りれた。
これは神様がやれと言っているのだ、絶対に。
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