黒バス/長編/今吉 T

□第5話
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世は俗に言うゴールデンウィーク。
ぶっちゃけ何がゴールデンなのかがわからない私は今日も学校にいます。

ゴールデンウィークって、お休みなんじゃないんですか。
何が連休だ。
今日だって部活で休みじゃないじゃないか。
何、部活ってこんなにあるの?



「さつきよ」
「?」
「帰ってもよいか」
「いいわけないでしょ」
「…帰り買い物しよ」
「それはいいよ」



寄り道してないとやってらんないよ。
大体何よ、ゴールデンウィーク課題って。
休ませてよ、高校生の忙しさナメんなよ教師共。



「ちょっと名前、なんて顔してんの」
「あ"ぁ??」
「もう…」



大体マネージャーの私が一生懸命部活来てんのに何で大輝来ないの。
私だってさっきから悪態はついてるけど部活が嫌なんじゃない。

どんだけ先輩に迷惑かけるんだか…。



「そろそろスポドリ作りに行ってくるわ」
「お願いします」
「承知致しましたさつき様」
「ぷっ」



さすがにふざけてないと詰まらない。
鼻歌歌いながら容器にスポドリを作っていく。

大分手慣れてきて、どれぐらい水入れたらいいかとかが大分わかるようになってきた。
重たいこのカゴ×2は未だに慣れませんけども。
フラフラとまた鼻歌まじりに歩き出す。
体育館まであと少し。



「あ、やばっ」



ゴトンっとカゴから落ちる容器。
カゴを置いて容器を追いかける。
砂がついてしまった容器を水道で洗い流すためにカゴを放置して流しへ。



「あれ、何してんの?」
「?…若松先輩。容器を落としちゃて…すみません」
「大丈夫大丈夫」
「…そういえばこんなところにどうしたんですか?」
「いや…」
「?」



容器を洗いながら話していたため、謝ったあと顔は見ていなかった。
何も言わない先輩を不思議に思い、振り返る。

そしたら何か、「これはチャンスか…?」とか「カゴを…うん、そうだ」とか言ってる。
一人言言ってるみたいだからそっとしておこう。
洗い終わった容器をカゴにいれてカゴを持ち立ち上がる。



「では」
「あ!!名字!!」
「?」
「重いだろ、それ」
「大丈夫です」
「俺が持っt」
「何してんねんそんなところで」
「!!…今吉さん」
「一人で何喋っとん…ん?何や名字と喋っとったんか」



「ワシ若松がおかしなって一人言言うてるかと思たわ」と言いながら若松先輩の肩をバシバシ叩く。

「ひどくないっすか」とか何とか会話始めたから私は体育館に行くことにした。
持ったまま立ちっぱなしは腕が辛い。
絶対腕取れる。



「?名字重そうやなそれ」
「あ、いえ大丈夫…」
「持ったるわ」



ひょいっとカゴを奪って体育館へ行ってしまった。
それも2つとも。

ポカン…としてしまった。



「せ、先輩私持ちます!!」
「もう持ってしもたから持ってく」
「先輩!!」



走って追いかける後ろでポツンと若松先輩が残されていたことを思い出し戻ろうと振り返る。

さっき何かを言おうとしてたはず。
だが。



「ちくしょー!!」
「!?」



私が振り返ると同時に私の横を走り去る若松先輩。
今吉先輩にカゴをもらいに言ったみたいだけどダメみたい。

…そんなにカゴ持つのが好きなのかな。
変わった先輩だな、と思ったのと同時に、今吉先輩が頭おかしくなったって言ったのが少しだけ理解できた気がした。



「遅かったね」
「色々あったのだよ」
「あ、そういえばね」
「何?」
「レモンの蜂蜜漬けってどう作るんだっけ?」
「うっ」



出た、さつきのレモンの(まるごと)蜂蜜漬け。
毎回毎回まるごと漬けちゃうんだよこの子。

今回はどうやら作り方を教えてほしいらしい。
大方皆が手を伸ばさないから作り方が違うと気づいたんだろう。



「まずレモンに塩をこすりつけて、ワックスを落としてから良く洗って、水気をよくふき取って薄い輪切りにするのね」
「うんうん」
「薄い輪切りにしたら容器にレモンを入れて、レモン全体が漬かる程度に蜂蜜を入れて、そのまま1〜2日置くのね」
「成る程」
「で、水分が多い部分と蜂蜜の2層に別れてくるからかき混ぜる」
「おぉー」
「蜂蜜はレモン3個で1kgね、レモンは輪切りだよ、輪切り」
「ありがとう!」



「頑張るぞ!」と意気込んでいるさつき。
…多分ダメだな。
まるごと漬けるに1票。
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