頂き物・捧げ物

□何なんスか!!
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顔もスタイルもOK。
運動もできるし頭もまぁ。

笑顔振り撒けば女の子何か簡単にコロッと落ちるし、モデルが彼氏っていうステータス欲しさに俺の周りを取り巻く女子。

皆俺のアウトオブ眼中ってのに気付かずにキャーキャーキャーキャーまとわりついてくる。

告白なんて慣れたもんで。
最近ちょろちょろ周りにいるな、とか思ってたらすぐこれっスよ。

「ごめんね」なんて苦笑い作って断れば、涙を堪えて作り笑いを浮かべる。

女子なんて皆そうでしょ。



「あー…泣かれるとめんどくさいっスね、ホント」



自嘲ぎみに笑って木の影に腰かける。
緑色の葉がサラサラ音をたてて揺れている。

女の子なんて皆、笑顔振り撒いて優しくすればコロッと落ちる。



「女子なんてチョロいっスねー」
「うわー、最低」
「!?」



驚いて周りを見渡しても誰もいない。
立ち上がって周りをもう一度見渡す。

やはりいない。
確か女子の声がしたと思ったんスけど…気のせい…?



「黄瀬くんそんな人だったんだー」
「!?…ぅお!?」
「やっぱアンタ最低だね」



目の前に現れたのはやはり女子。
だけど顔は逆さま。
木からぶら下がっているみたいでどういう状況なのかすげぇ説明してほしい、今すぐ。



「な、何なんスかアンタ…」
「ん?いや、別に誰でもいいじゃん」
「はぁ!?」
「てか、っはは、何この睫毛!」
「いってぇ!!…はぁ!?」



いきなり俺の方に手を伸ばしたかと思えば目に伸びてきて。
伸びてきたと思った瞬間睫毛を抜かれた。

これかなり痛いんスよ!?
まぶたバチンッて言ったんスけど!?



「ちょ、アンタホント何!?」
「は?だから別に…」
「よくねぇっスよ!!俺誰か知ってるんスか!?」
「モデルの黄瀬でしょ?」
「だったら睫毛…」
「ちょ、木から降りたいんだけど。邪魔」
「じゃ…はぁ!?」



「よいしょーいっ」と言いながら身軽に木から降りて着地する彼女。
俺がまず真っ先に思ったのはこの子は“変”だということ。

スカートを軽くはらって俺を見上げる。



「アンタ誰なんスか!!」
「知りたきゃ調べれば?」
「な…はぁ?」
「じゃあね、ゲス黄瀬くん」
「…ちょっと待てって」
「…何」



逃げられちゃ困ると思ってすかさず手首を捕まえる。
凄くめんどくさそうに俺に振り替える。



「なんか用じゃないんスか」
「用?ないよ」
「はぁ!?人の睫毛抜いといてふざけんなよ!?何、俺が嫌いで来たんスか!?」
「?好きだよ?」
「なら何なんスか!!」



…っていうかこんなに珍しい女の子初めてで。
イライラと好奇心とで逃がすのは惜しいと思った。

心底めんどくさそうな顔にイライラが勝り、コイツの目的だけ聞いて帰ろうと思った。



「大体、よく俺の睫毛抜いたっスね。皆俺見ると喜んで取り巻くのに。俺君に興味わいたっスわ」
「黙ってりゃイケメンなのにねぇ」
「そんな強がって…可愛いっスよね」
「はっ」



…誉めてやってんのに鼻で笑いやがったコイツ!!
めっちゃくちゃ腹立つんスけど!!!!!
何なんスか!!

全然俺に靡かないこいつを赤面させてやろうと思っていくら甘いセリフを吐いても鼻で笑われるだけで。



「…アンタ性格歪んでるっスね」
「ワォ、誉め言葉?」
「…ムカつくっスわ」
「ありがとう」
「…チッ」
「うわ、デルモが舌打ちした!!」
「はぁ!?バカにしてるんスか!?」
「ごめんごめん、モデル(笑)だった?」



なんスか。
何なんスかコイツ。
マジでムカつくんスけど
すっげぇムカつくんスけど!!
…決めた。



「俺、興味わいたって言ったっスよね?」
「言ったねぇ」
「絶対アンタ落として見せる」
「落ちるとこまで落ちてるよ私は」



確かに。
堕ちてそうな感じではある。
…でも絶対惚れさせてやる。
…負けねぇっスよ?
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