頂き物・捧げ物

□狼男の笑顔
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放課後。
教室に残って日直日誌を書いている内に教室には誰もいなくなってしまっていた。

【本日の感想】なんて書いてある場所に「早く休日が来てほしいと思いました。」と一言書き、日誌を書き上げた。



「『早く休日が来てほしいと思いました。』?なんだそれ」
「ぅおう!?わ、若松…」
「なんだよその感想文」
「だって学校やだし。授業とかフケたいけど私ビビリだからできないし」



高校生なら一度はやってみたい屋上でのサボりは2年になった今でもしてません。
1年の青峰くんはよくサボって屋上で寝てるみたいだけど…私は偉いからそんなことしない。
というのは嘘で、やる勇気がないだけだ。



「ビビリってわかってんのかよ」
「は、はぁ!?誰がいつどこで私がビビリなんて言ったよ!?えぇ!?」
「お前が今ここで言ったんだろうが」



「他人に言われたくないんですー」と口をすぼめてぶーぶー言うと若松は溜め息をつきながら「うるせっ」とチョップをしてきた。

すかさずチョップしかえす私。
それにまたチョップしかえす若松。
チョップする私。



「だぁあぁぁあぁっ!!なんなんだよお前!!」
「アンタが意地悪してくるんでしょ!?」
「お前がウザいからだろうが!!」
「はぁ!?酷いわ若松くん!私若松くんと仲良しだと思ってたのに!!えーん」



座り込んで「若松くん酷いよー」と泣く真似をする私に腹が立つのか今度は頭を叩かれた。
顔をあげて睨むと睨み返される。

こだまでしょうか、いいえ、嫌がらせです。



「何のCMだよ。つか、嘘泣き下手くそ過ぎだろ」
「…ちっ」
「あ、舌打ちしやがったな!?」
「してないよー。耳にバスケットボール詰まってんじゃないの?」
「バカか。お前バカだろ」
「お前よりマシじゃ」
「んだと…コラ待て!!」



自分の鞄と日誌と若松のバッシュを引っ付かんで職員室までフルダッシュ。
先にスタートをきった私は職員室につき鞄だけを降ろして職員室へ。

担任の先生に日誌を渡して職員室を出ようと扉へ歩いて立ち止まった。
出ようとは思わなかった。

なぜなら若松が職員室の扉の前に仁王立ちしている。
頭に青筋浮かべながら。

一向に出てこない私に痺れきらし、職員室に入ってきて捕まった。
廊下に引きずりだされる。



「バッシュ返せ!!」
「しょうがないなぁ」
「ったく。てめぇは…」
「痛い痛い痛い痛い痛い!」



肩を組まれてそのままグーで頭をグリグリされた。
職員室前なのでもちろんここまで小声でやり取りしている。
しかし短く悲鳴があがった。
私じゃなく若松から。



「いって!!…?」
「?…!?し、翔一せんぱ…」
「何してんねん、こんなところで」
「や…あの…え?ちょ、何…ぅわ!?」
「名前借りてくでー」



今度は翔一先輩に捕まり担がれた。
職員室前で。
生徒も先生もいる前で。



「ちょ、先輩おろしてください!!」
「暴れるとスカートん中見えるで?」
「!?ちょ、」
「お姫さん抱っこがええんか?」
「これでいいです」
「なら文句無いやろ」



あるんですけど。
下ろす気は更々ないようで、何を考えてるんだかわからないけどとりあえず連れていかれるままになった。
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