頂き物・捧げ物

□大きな猫の頬に
1ページ/3ページ




時刻は14時20分。
何もすることが無くなりひたすらゴロゴロする土曜日の14時20分。
何もすることが無くなりひたすらゴロゴロする14時20分。

二度いったのは要するに…。



「…暇」



宿題はする気にもならないし、ゲームもし飽きた。
最近体調が優れないため友達と遊びに外に出ることもできず、暇をもて余していた。

ゴロン と電気カーペットに横になる。
ケータイで適当なサイトを出したりブログ読んだり。
そしてケータイを閉じる。



「…暇」



部屋にかかっている曲はもう何度も聴いた曲でそれにも飽きてきた。
本日三度目の「暇」を呟こうと口を開いた時、携帯が鳴る。
ディスプレイに表示されるのは愛しい人の名前。



「もしもし!!」
『出るん早いな。ま、ええわ。外出られへん?』
「…はい?」
『お前の家の前におんねん』
「…はい?」
『窓開けたらわかるて』



窓を開ける為に立ち上がり窓へと歩き出したら机に足を思い切りぶつけた。
急いでベランダへ。

前の通りをみるもその姿は見えない。



「おーい、こっちや」
「??」
「下や下!」
「あ、いた」



道路からではなく、ベランダの直ぐ下から顔を見せた。
笑いながらヒラヒラ手を振る先輩。



「こけたん?」
「はぃ!?」
「すごい音聞こえたで?慌てすぎやろ。ドジやなぁ…」



ケラケラ笑いながら先輩は私を見て笑う。
言われてみれば先輩に会える、と気持ちが高ぶって急いだ気がしてきた。
それが恥ずかしくてベランダから部屋へ戻ろうとむきを変えた。



「えぇ!?ちょ、帰らすん!?」
「…ちょっと待っててください鍵開けますから」
「おー」



ベランダから戻って玄関へ。
部屋にある鏡を見れば微かに頬は赤くなっている。
誤魔化したくて頬を擦りながら階段を降りる。

リビングを通って玄関へ行き鍵を開けてドアを押せば直ぐそこに先輩が。



「…こんにちは」
「おぉ。…今暇やろ?」
「すっごい暇でした」
「なら話さへん?ワシも暇やねん」
「ちょ、ちょっと待っててください」



そう言って家の中に戻ってリビングへ顔を出す。
そう、私の部屋へ行くには階段を上がらねばならない。
階段に行くにはリビングを通らなければならない。
中には母がいるからそこが問題なわけで…。



「…お母さん」
「?」
「部屋に人入れて良い?」
「いいけどどなた?」
「えー…っと…バスケ部の…キャプテン?」
「…キャプテン?何でキャプテンが家に…?」



なぜ私も疑問系。
お母さんはきっと「どうしてキャプテンがわざわざ家に来たのだろうか?」と素朴な疑問を私に投げ掛けただけなんだろう。



「アンタ何かあったの?」
「いや、あのね」
「?」
「…彼氏」
「…え」
「…はい」
「ど、どうぞ」
「あ、どうも」



私は彼氏ができたと言うタイミングを逃しまくってここまできた。
お母さんは私に彼氏がいたのをやはり知らなかったようで…。
まぁ私が言わなきゃ知らないよね、うん。
玄関のドアを開けたら先輩はくしゃみしてた。



「…どうぞ」
「え、入ってええの?」
「外寒いですし…」
「確かにさっぶいわ。ワシ凍えそっ。お邪魔しますー」



中から「はーい」といつも通りお母さんの声がして。
恥ずかしさMAXで心臓が飛び出そうになった。

先輩は普通に「おかん?」とか聞いてきて。
ハイそうですと俯いて小さく答える私に笑ってた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ