黒バス/続編/今吉

□第4話
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今ではもう平気なのか、恥ずかしさから少しだけ顔を赤くして「あはは」と笑っている。
桃井に聞いた話だと、大丈夫らしい。

けど、妙に納得がいかず。
若松にその女子の事を聞けば性格はきついらしく、若松は合わんらしい。
合わんなんて言葉使てたけど、多分、嫌いな部類なんやと思う。




「もう嫌がらせとか受けてへん?」
「あー、最初はすれ違い様に言われたりしてましたけど言い返したので」
「…は?」
「階段ですれ違って少しすると『うざい!キモーい!』何て聞こえるように言われましたけど『あー煩い!!』って言い返しました」
「…成長したなあ」
「電車で違う先輩にも会いましたけど、向こうはばつが悪そうにチラチラ見てたので見詰めときました」
「…アホか」
「やられっぱなしはダサいから俺が殴るか?って大輝が言うんで流石にそれは…」



げっそりした顔でそう言ってはいるが、だからと言って自分から行動したみたいで。
そのきっかけが青峰っちゅーんが気に入らんけど、今はもう困ってへんみたいやった。
顔見たらわかる。

そろそろ夕飯時になるからとお暇することにした。
食べていくかと聞かれたけど名前が緊張した顔しとったから遠慮した。



「食べていかないんですか?」
「いてほしないやろ、お前が」
「そんなことないです」
「…どっちやねん、顔が複雑そうやぞ」
「…お父さんが帰ってきたらまた面倒だな、って」
「お、おぅ…せやな…覚悟なしにそれはキツい…」



ワシの顔がひきつったんがそんなに面白かったんか、「食べていきます?」とけらけら笑いながらワシの腕を組んで顔を覗き込んだ。
勘弁してくれ、と顔を引き剥がすとまた笑って、「次は食べていってくださいね」と言って離れた。

父親なんてそんな…会う勇気ないわ。
何話したらええかこっちが戸惑うし向こうも戸惑う。

外で会話しとったら名前のオカンが顔だして、「お風呂入ってよ」と一言告げた。
どうやら名字家は飯より風呂が先らしい。



「ほんならワシ、風呂だけ入っていこかな」
「だったらご飯…」
「今からお前入るんやろ?背中流したるいった!!叩くな!!…その顔やめろ冗談やろ」
「おっさんみたいですよ」
「嬉しいくせに」
「帰れ!!!!」
「わかったわかった」



背中をぐいぐい押してワシを帰らそうとして、家から少し離れたところまで来た。
「帰れとか寂しいなあ」と呟くとそれをピタッとやめて固まった。

何やろ?と思って振り返ろうとすると背中のシャツを握って頭を背中にくっ付けられる。
首だけ後ろを向けて、「何?」と聞くとボソボソと何か答えた。



「え?何?」
「…別に帰れなんて思ってないです」
「…そういう可愛いこと言うのやめろ、帰れへん」
「…ごめんなさい」
「何でや」



腕を後ろに回してぽんぽんと頭を叩くと引っ込みがつかんくなったんか耳まで赤くしてジッとしとった。
案外さみしがり屋なのはこいつの方かもしれん。
暫くしてから手を離していじけたように俯いた。

「また来てもええ?」と聞くと、嬉しそうに「だめー」と笑った。
天の邪鬼もいいところやなあ、と呟くとまた煩い、と叩かれた。





(もしもし)
(おう、諏佐くんですか?)
(…何だよ)
(名前にいらんこと吹き込むなアホ)
(は?)
(家庭教師の話)
(お前エロい事させそうだろ)
(させへんわアホか)
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