黒バス/続編/今吉

□第3話
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気合いの入れ方が半端ない若松に対してへらへらと笑いながらユルい練習をする青峰。
いつも通り練習する桜井と、久しぶりな為楽く練習に加わる大学生。

そんな珍しい光景に原澤監督も嬉しいのか、いつもより声を沢山かけている気がする。
桃井も心なしかも楽しそうにデータを集め、名前も何だかんだ嬉しそうにしとる。

さすがに現役の部員たちにはついていけず、数ヵ月ぶりに参加するハードな練習をワシらは途中で抜けて端の方で話しとった。
そんなワシらにスポドリを配ろうと思ったのか、名前かごから5つ出して抱えて持って来ようとしとる。
ワシはそれを途中まで取りに行き、4つ受け取って運んだ。



「お疲れ様です」
「お、サンキュー名字!」
「ほれ、諏佐」
「投げるな馬鹿」
「ほれ、ほれ、ほれ」
「何で4つとも俺に投げるんだよ」



一番端におった諏佐に向けて4つとも投げ、諏佐は横におるやつらにそれを回した。
自分は名前から最後に受け取り、諏佐の隣へと座る。

一緒に来とった川崎が今の部活はどんな感じなのかを名前に聞き始めた為、名前はそのままワシの横で立っとる。



「でも青峰、来てるんだな」
「態度めちゃくちゃ悪いんですが来てますよ」
「桃井もお前も大変だな…」
「桃井だけやろ、お前青峰とケンカしよるし」
「別にいつもしてる訳じゃないですよ」
「さっきかてしてたやろ」
「大輝がいらんこと言うからです」



そう言いながら青峰の方を向いて舌打ちと悪態をひとつ。
それに五人ともが笑うと名前も笑てた。

立ったままの名前の肘が視界に入り、そこの肌が傷つき血が滲んでいるのを見つけた。



「お前そのケガどないしてん」
「…朝階段から落ちました」
「気を付けなアカンやろ。どーせまた寝ぼけてたん違うか?」
「………」
「図星やな」



「ホンマにトロいなお前」と笑ってやれば、見破られたんが恥ずかしかったんか「トロくない!!」と言いながら背を向けて仕事へと戻ってしもた。
相変わらずおてんばらしい。

そんな姿を見て笑いながらスポドリに口をつける。



「お前らホント仲良かったよな」
「ん?」
「お前と名字だよ」
「ホント真面目でいい子だよなー」
「わかるわー」
「お前ら手出したら承知せぇへんぞ」
「え、何だよお前、卒業してんのに今更狙ってんの?」
「こいつら付き合ってるぞ」
「はぁ!?マジかよ!!」



どうやら知らんかったらしく。
まぁ、進学先も違うから知らんのも当たり前やし教えてへんから仕方ない。
驚く3人が面白くてけらけら笑っていると、傍におった青峰も笑いながらそれを見とった。

それを「よそ見すんな!!」と若松に叱られて練習に引き戻されとる。



「え、いつから?」
「卒業式」
「え、どっちから?」
「今吉」
「…何で諏佐が返事してんだよ」
「ワシがベラベラ喋るとあいつ恥ずかしがって怒るんよ」



「初やろ」と笑いながら言ってやると、想像出来んのか何なんか知らんけど曖昧な返事を返してきた。
チラッと名前の方を見ると、今は既に桃井と二人でスコアつけててこっちには全く見向きもしない。

当たり前やけど。

相変わらず一生懸命部活に打ち込んどるようで、ボールペンを握りしめて部員たちを観察している。
何考えてるんかは知らんけど、何かは考えてるようでジー…っとコートにおる桜井を見とった。
その後桃井の肩を叩いて何かを告げると桃井に頭を叩かれとる。
…今のでわかったわ。



「あのアホ仕事してへんな…」
「?」
「桜井見て楽しんどる」
「…お前よくわかるな」
「どうせいつもの可愛い可愛いに決まっとるわ」
「拗ねてんのか?」
「拗ねてへんわ、青峰で大分鍛えられた気する」
「…言えてるな」



青峰とあんだけじゃれとるん見せられたら少しぐらいの事では動じんようになってくるし、相手の事何も思てへんいうんもわかる。
自分でも誉めたなるくらい成長したわ、1年よう頑張った。

その内部員たちも休憩に入り、ワシらはコートでボールついて緩く練習しとった。
流石にこいつらにはついていかれへん。



「…アカン、感覚鈍ってるわ」
「そうっすか?」
「鈍ってる鈍ってる」



ワシのすぐ後ろではスポドリを飲みながら休憩中の若松がおって、その横には桜井もおる。
ワシと同じゴールを使っている諏佐も感覚を取り戻そうとボールをいくつか放っとった。

コートの外ではあるがすぐ近くでまた青峰に突っ掛かる名前の声が聞こえてくる。



「お前どんだけ青峰大好きなん」
「これの!!どこが!!大好きなんですか!!」
「兄貴か飼い主かわからんけどお前も大変やな、青峰」
「先輩こいつ何言ったかわかります!?セクハラですよセクハラ!!」
「何言われたん」
「…サイズ聞かれました」
「青峰…」
「聞いただけだろ別に」



何の悪びれも無さそうに頭に両手をやって暇そうに名前を見とる青峰。
そんな名前を見てみると赤面せずにめちゃくちゃ表情を険しくしとる。

ま、こいつ相手には照れんっちゅー事なんやろうけど…流石にこれはアカンやろ。



「お前ワシが居るんによーそんな事聞けるな」
「あ?あ、そうだった」
「先輩居なかったら聞いていいみたいに話進めないで!!」
「それにワシの知らんことこいつが知ってたら腹立つやろ」
「そういう問題とも違います!!」



今度は赤面してワシの方へと詰め寄りあまり大きな声では騒がずに怒りそしてその後は何処かへと行ってしまった。
それを悪びれもせずへらへら笑って見とるワシを若松が少し首を捻って見ていた。
若松が答えにたどり着くまで後10秒。
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